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※これはfuku1783 ゆっくり腹話術(前)の続きになります 子れいむと親れいむを失い、残り四匹となったゆっくり一家の後を追う。 親れいむが人間に連れ去られたショックはあるものの、ゆっくり一家にあるのは悲壮感ばかりではなかった。 残ったものが死んでいったものたちの分までゆっくりしよう、という思いなのだろう。 「ゆぅ、おにゃかちゅいたね…………」 ポツリ、と子れいむが呟いた。 「「ゆぅ……」」 その言葉に賛同するように声を漏らす二匹の子まりさ達。 このゆっくり一家は食べ物を求めて人里にやってきたが、狙った食べ物にはことごとくありつけなかった上に死ぬかもしれない思いまでしている。 空腹は既にかなりのものになっていることだろう。 腹を空かせる我が子の姿を直視できないのか、なんでもいいから食べ物を探そうとしたのか、親まりさは視線をキョロキョロと辺りに飛ばす。 すると、 「お~い、ノブナガ~。メシだぞ~」 近くの民家から一人の老人が皿を持って外へ出てきた。 どうやら飼っている犬にエサを与えに来たようだ。 老人が犬小屋の前にエサを盛った皿を置くと、バネ仕掛けのおもちゃのように勢いよく一匹の柴犬が犬小屋から飛び出してきた。 ガツガツと勢いよく食べる飼い犬の姿を満足そうに眺めた後、老人は家の中へと戻っていった。 「「「……………」」」 視線をゆっくり達へ戻すと、案の定というか子ゆっくり達は羨ましそうに犬のエサを見つめ、口の端からはだら~、とよだれまで出ていた。 親まりさも私と同じくその姿を見たのか、 「ゆっ、まりさにまかせてね。いぬさんからごはんをもらってくるよ!」 そう子ゆっくり達に言い残してすぐさまその場を駆け(跳ね)だした。 本来は人里の美味しい食べ物を狙いにきたのだろうが、犬のエサまで狙うとは。 余程腹を空かせていたのだろう。 「ゆっ、おとうしゃんがんばっちぇね!」 「むのうなおかあしゃんとはちがうもんね!」 「いぬしゃんなんかぶったおちちゃえ!」 親まりさの背後からは子れいむや子まりさの声援。 その声援を受け親まりさは犬のもとへ向かう速度を更に加速させると、そのままの勢いで食事中の犬のどてっぱらに体当たりを仕掛けた。 「ゆぉぉぉぉぉぉ!!」 「キャウンッ!?」 突然のことに思わずよろめき、その場から退く犬。 それを自分の勝利と思ったのか、親まりさは子ゆっくり達に「みんな~、おいで~。ごはんだよ~」と呼びかけていた。 「やっちゃー、さすがおとうしゃん!」 「おなかちゅいたよ~」 すぐさま親まりさの元へ結集する子ゆっくり達。 そしてゆっくり一家は犬のエサが盛られた皿に一斉に殺到した。 「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~」」」 犬のエサといえど野生のゆっくりの常の食事に比べれば豪勢だ。 子ゆっくり達の幸せそうな顔を、子の幸せは我が子の幸せだという顔で見つめる親まりさだったが、自分も腹を満たさねばと皿のエサを食べようとするが 「バウッ!!」 犬の鳴き声に驚き飛び上がった。 「ゆっ、ゆっ!? び、びっくりさせないでね! これはまりさたちのごはんなんだからいぬさんはさっさと────い゛だい゛いいい!!!!」 親まりさは抗議の声をあげたが、犬に言葉が通じるわけもなく、頭の一部を噛み千切られていた。 噛み千切られ失った左半分の頭部からは餡子が漏れ出ている。 「ゆっ、おとうしゃん!?」 「おとうしゃんににゃにするのぉぉ!!」 「だめぇぇぇぇ!! にげてぇぇぇぇ!!」 親の仇だ、と犬に突進しようする子まりさ達を諌める親まりさの声に、この犬も人間同様敵わぬ相手と悟ったのか、すぐさま逃亡を図る子ゆっくり達。 親まりさも噛み付かれたが頭部は千切られていたため、すぐにその場を離れることができた。 だが、子れいむが一匹、逃げ遅れていた。 犬から一番遠い位置に居て、犬に突っかかろうともせずに逃走の体勢に入っていた子れいむ。 本来ならば真っ先に逃げられていたであろうが、子まりさが子れいむを踏みつけていったため逃げ遅れていたのだ。 「ゆっ~、まっちぇぇ!」 背後からは犬が外敵を排除せんと追ってきている。逃げ遅れている自分。 恐らく子れいむは最初に死んだ自分の姉妹のことを思い出していたことだろう。 しかし、ここで子れいむを殺してしまっては私の計画が狂ってしまう。 私は子れいむを踏みつけていった子まりさに狙いを定めると、『腹話術』を使用した。 「ゆっ!? 〝ガメラが飛ぶ時の回転数すごすぎぃぃぃぃぃ!!!〟」 『腹話術』をかけられた相手はその間気を失う。 つまり、気を失った子まりさの足は止まるということだ。 足の止まった子まりさを追い抜いていく子れいむ。 理由は分からないだろうが助かったので特に気にすることはないだろう。 「…………ゆっ!? なんでれいむがまえにいりゅ────ゆ゛ーーーーー!!!!!」 子まりさが気が付いた次の瞬間には、子まりさは犬に咥えられていた。 「いだいよ゛ぉぉぉぉ!!! おどうじゃんだずげでよ゛ぉぉぉ!!」 噛まれ、宙に浮く子まりさは泣き叫び親に助けを乞う。 しかし親まりさは無力である。ゆっくりが自分より体の大きいものに敵うはずもない。 「ゆっ、ゆっ……!」 犬は鎖に繋がれているため鎖の長さ以上の距離を逃げている親まりさ達は襲われることはない。 だが犬の行動範囲内に飛び込もうものなら今度こそ問答無用に殺されてしまうだろう。 子まりさを助けることは最早不可能だった。 「ゆ゛っ、ごべんね、ごべんねぇぇぇぇ!!」 親まりさは涙を流しながら子まりさを見捨てた。 残った子まりさと子れいむを連れて全速力でその場を逃げ出したのだ。 「ゆっ、おとうしゃん、まりさのいもうちょがぁぁぁぁ!!!」 「だめだよぉぉぉ!! みんなしんじゃうよぉぉぉ!!」 親まりさに咥えられた子まりさは犬に咥えられた子まりさを助けるよう求めるが、それは叶わぬ願い。 子れいむも子まりさを助けようとしたのかいくらか逡巡していたが、やがてどうやっても助けられぬと分かったのか去り行く父親達の後を追っていった。 「どぼぢでぇぇぇぇ!!! なんでまりしゃを……ゆがべぺ……ゆ゛っ!!」 助けられなかった子まりさは、身の程を弁えぬ所業と身内を蹴落とすという外道な行いの報いを受ける。 子まりさは少しずつ咀嚼されるという苦しみの中息絶えていった。 その死に顔は私の胸がすっ、とするほどの絶望と苦しみに彩られていた。 「…………くふっ」 思わず笑いが漏れる。 遂に半分にまで数の減ったゆっくりの一家はその歩を人里の中心に向けていた。 だが当人達は気づいてないだろう。ただ襲い来る脅威から逃げていただけにすぎない。 やつらは気づいていない。自分達から危険に近づいていることに。 「……ゆっ? おとうしゃん、いいにおいがするよっ!」 それまで俯いてしょこしょこと小さく跳ねていた子まりさがその場で嬉しさを表現するように跳びはねた。 言われ親まりさと子れいむもその場で立ち止まり鼻(?)をひくひくさせて臭いを嗅ぎ取ろうとする。 「ゆっ、ほんちょだ! おいちしょうなにおいがしゅるよ、おとうしゃん!」 「ゆゆっ、ほんとうだね! こっちからするよ! ゆっくりできるよ!」 それまで沈んでいた家族の間に笑顔が戻ってきた。 ゆっくり一家はその笑顔のまま臭いのする方へとぴょこぴょこと進んでいった。 だがゆっくり一家がその先で「しあわせ~」になることはないだろう。 ゆっくり達の向かった先、「いいにおい」の出所は、焼き鳥屋だった。 私もよく行く馴染みの店だ。 夜になると人間や妖怪達が一緒に酒を飲み騒いでいる。 今日も店の中からは様々な笑い声や上手そうな焼き鳥の匂いが漏れ出ている。 中の者だけではなく近くを通りかかった外の者まで陽気にさせる、私の好きないつもの雰囲気だった。 「ゆっ、ここからおいしそうなにおいがするよ」 「ゆっ♪ ゆっ♪ これでゆっくりできるね~♪」 パンドラの箱に残った希望を見つけた人間のような表情をしながら焼き鳥屋の方へと跳ねていくゆっくり一家。 焼き鳥屋の入り口は引き戸なのでゆっくりには開けられないかと思ったが、誰かが閉め忘れたのか若干開いており、そこに親まりさが自分の頬を突っ込んでむりやり戸をこじ開け入っていった。 私は店に入るか入るまいか若干迷ったが結局入ることにした。 「ゆ~♪ おいちちょ~♪」 中に入ると子ゆっくりが歓喜の声をあげていた。 店の者達は入ってきたゆっくりを気にもとめず(というか気づいていない)皆好き勝手に飲み騒いでいた。 まだ日が沈んでから一刻も経っていないというのに気の早い連中だ。 ぴょこぴょこと跳ねながらゆっくり一家はカウンター席の方へと向かっている。 私もゆっくりの後に続いてカウンター席へと向かう。 普通に歩いてはゆっくりを追い抜いてしまうから牛歩戦術だ。 ゆっくり一家はカウンター席の下まで辿り着くと、親まりさが空いている席の椅子へとジャンプした。 そして椅子からカウンターへと再びジャンプ。カウンターの上に乗った親まりさはカウンターの向こう側で焼き鳥を焼いている店主(私達は敬意と親しみを込めて〝マスター〟と呼んでいる)に向かってこう要求した。 「ゆ~、おじさん! まりさたちにもごはんちょうだいね!」 どうやらマスターが客に注文された酒や焼き鳥を渡すのを見て、マスターが食べ物をくれる人だと勘違いしたようだ。 「おぉう? なんだ、ゆっくりじゃねぇか」 親まりさにマスターよりも先にすぐ隣の席で酒を飲んでいた客が気づいた。 って、誰かと思えば飲み癖と悪食とロリコン趣味で有名なタケさんじゃないか。 流石に稗田家の当主はやめておいた方がいい、と今日こそ言うべきか? 「なんだ? 誰がゆっくり入れたのは」 タケさんが親戚のわんぱく坊主でも見るかのような反応を示したのに対し、マスターは明らかに不機嫌そうだった。無理もないか。 「いや、店の戸が半開きだったんですよ」 タケさんの隣の席に座り、誰かに濡れ衣が着せられる前に私がフォローに入った。 「おぉう、なんだ、お前がゆっくりを連れてきたのか? ……ゥィック」 「違いますよ」 やんわりと否定しておく。どっちかっていうとゆっくりが私を連れてきたようなものだ。 というかタケさんもう酔ってるんかい。 「ゆっ! ゆっくりむししないでね! さっさとまりさとまりさのこどもたちのためにごはんをよういしてね!」 見ると親まりさがその体を膨らませて怒っていることをアピールしていた。 それを見てタケさんがゲラゲラと笑い、マスターが更に不機嫌そうな顔になり、私の虐待エナジーが高まる。 「ちょうだちょうだ! さっさとまりしゃたちにごはんをよういしてね!」 カウンター席の下、タケさんの足元で子まりさも親に続き抗議の声をあげる。 タケさんがその声で子ゆっくりが居ることに気づき視線を下に向け 「おぉう、ちみっこもいるのか~」 と陽気に笑った。 …………決めた。 親まりさ、貴様を潰すのは後だ。 ここでは子まりさを潰す。 私は『腹話術』を、今度はゆっくりではなく、タケさんに向けて発動させた。 「〝おぉう、マスター! ちょいとこの子ゆっくり焼いてくれや!〟」 「「ゆっ!?」」 親まりさと子まりさが跳ね上がる。 私は『腹話術』をかけられ自分が注文したことを知らないタケさんに代わり、床にいる子ゆっくりを拾い上げた。 「ゆっ!? まりしゃをどうちゅるの! ゆっくりはなちてね!」 「はなちぇ~!!」 掴まれた子まりさがジタジタと身をよじり、側にいた子れいむがピタンと体当たりをしかけるが効果は無し。 なんの障害もなく子まりさは私からマスターへと手渡された。 「まったく、タケさんの悪食っぷりは相変わらずだねぇ」 マスターはそうぼやくだけで特に疑問ももたず子まりさの調理にかかった。マスターも馴れたものだ。 「まりさのごどもがえせぇぇぇぇぇ!!!」と私が子まりさを掴んだあたりから親まりさが騒いでいたが、タケさんが面白がって押さえつけていたので何もできていない。 マスターは子まりさを軽く水あらいして「ゆぐがぼべっ!!」、さっと振って水気を飛ばすと「ゆゆゆっ!?」、焼き鳥を焼く金網の上に子まりさを乗せた。 「あ゛ぁぁぁつ゛つづっっいいいぃいぃよおおぉぉ!!!」 ボロボロと涙を流す金網の上の子まりさ。零れ落ちた涙はすぐにジュッと蒸発する。 なんとか金網の上から逃れようとするもマスターが上から菜箸で押さえつけているため動けない。 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!!ま゛り゛ざのごどもがぁぁぁ!!いぎゃ"ぁ"ぁ"!! タケさんに押さえつけられている親まりさがカウンターで泣き叫ぶ。 ガハハハハハと笑いながらタケさんに押さえつけられている無力な親まりさは素晴らしい程に滑稽だった。 「ぶわっはっはっはっは」 とついつい私も笑ってしまう。 私のことを知らない他人が見ればどこの大根役者だと思うことだろうが。 「おどうじゃん、だずげでよぉぉぉ!!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!! まりじゃのあぢがぁぁぁぁ!!」 金網の上で泣き喚く子まりさを、マスターは無慈悲に菜箸で転がす。 今度は顔面が金網のつく形になった。 「ゆ゙ーーっ゙!!! も゛う゛や゛め゛でえ゛えええ!!」 ハッキリ言って煩いが顔面を焼かれているためすぐに大人しくなるだろう。 もう一つのうるさい親まりさはと言うと 「グワッハッハッハ、なんだお前、頭ないじゃんぶわっはっはっは」 と欠けた頭部からタケさんに箸を突っ込まれ頭の中の餡子をグチャグチャにされていた。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛…!」 なんだか白目を向いて痙攣していた。はっきり言って気持ち悪い。キモイじゃなくて気持ち悪い。 「へい、焼きゆっくり一丁!」 やがて子まりさが焼き上がり小皿に乗せられタケさんの前に置かれた。 「ま"り"ざのごどもがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!!どぼじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!!」 「あれ? 俺焼きゆっくりなんて頼んだっけ?」 「なんだい酔っ払いすぎだよタケさん」 「そうだよタケさん、酔いすぎだよ」 焼きゆっくりの注文は私が『腹話術』で頼んだためタケさんは覚えているはずがないのだが、マスターの言葉尻に乗って酔ったせいにしておく。 「んあ~、そう言われれば頼んだ気も…………でもいらねぇや」 タケさんはそう言って子まりさを掴むと床に叩きつけて草履の踵部分でグリグリとすり潰した。 その光景を子れいむは間近で見ることになったことに、私は気づいていた。 「あぁ、もう。やめてくれやタケさん、掃除するの俺なんだから」 「おっと、わりぃなマスター。代わりにもう一杯くれや」 「何が代わりなんだか」 「ゆぐ……ぐずっ……なんでごんなごどするのぉ……まりざのごどもがぁ……」 「なんだ、まだいたのかこのゆっくり」 「あ、私が外に出しておきますよ」 マスターの不機嫌が本気でヤバい段階にいきそうだったのでマスターに潰される前に私は親まりさを抱えて外に向かっていく。 もちろん子れいむも忘れずに足で外へと蹴飛ばしながらだ。 「飲みにきたんじゃないのか?」 「焼き鳥を家で食おうかな、と思っただけです。後でまたとりにきますから焼いといてください」 「あいよ」 成り行きで今晩の飯が決まった。 だが飯の前に、最後の仕上げだ。 ふっふっふっ、最後は私自ら手を下そうぞ。 どこのラスボスだよ。 私は親まりさを抱え子れいむを蹴りながら焼き鳥屋と隣の酒屋の間の狭い路地に入った。 その間親まりさを子れいむも子供のようにボロボロと涙を流し続けていた。 「さて、と」 子れいむを蹴飛ばすのをやめ、子れいむの脇に親まりさを置いた。 ゆっくりと視線を合わせようと、その場にしゃがみこむ。それでも私の方が視線が上だが。 「おいゆっくり。なんでこんなことになっているかわかるか?」 「ゆっ、ゆぐっ……まりざのごどもがぁぁぁ……」 「質問に答えろよクズ饅頭」 親まりさの口に拳を突っ込む。喉までだ。 そして体の奥底の餡子を一握り掴むと勢いよく引っ張り出した。 「ゆべぇぇぇぇぇ!!!」 叫び、咽る親まりさ。 その顔に親まりさの体から抜き出した餡子を叩き付け、もう一度問う。 「なんで、こんな、ことに、なって、いるか、わかるか?」 脳の足りないゆっくりにも分かりやすいように一語一語区切りながら。 それで流石に理解したのか親まりさは泣きながら答えた。 「ゆぶっ、にんげんだぢがまりざだぢのじゃまずるがらだよぉぉぉ!!」 「残念、不正解だ」 罰として今度は親まりさの歯を引っこ抜いてやる。 もちろん道具など使わない。素手だ。 左手で上顎を掴み、右手で前歯の一本(歯は飴だった)を情け容赦なく引っこ抜いてやった。 「ゆぼぉぉぉ!?」 「ゆゆっ、おとうしゃん!!」 それまで親まりさの後ろでガタガタ震えていただけの子れいむも恐怖を忘れて親まりさを心配する。 だが子れいむ。貴様は今は後回しだ。 「正解を教えてやるよ」 私はそう囁きかけながら引っこ抜いた歯を親まりさの右目にぐりぐりとおしつけてやる。 「ゆがっ、べぽ……ぜいがいっでな゛に゛ぃぃぃぃぃ!!!」 「お前らが身の程も弁えず人間の里に来たこと。それと家族を見捨てたことだ」 親まりさはその言葉でカッと目を見開く。何故知っているのかという顔だ。 だが今はそこを言及する場合ではないと分かっているのか、口にしたのは弁解だった。 「ゆっ、だっで、だっで、ごはんがもうないんだよっ! にんげんのごはんをもらわないといぎでいげないんだよっ!」 「それはお前等の怠慢だ」 罰として頬をちぎってやる。 「ゆ゙ーーっ゙!!! …………ぞ、ぞれに、みずでだわげじゃないんだよっ! あぁじないど、みんなゆっぐりでぎないがら、じがだがなかったんだよっ!」 「ほぉ、つまりお前は多数を助けるために少数を尊い犠牲としたと?」 「ゆ゛っ! そうだよ! まりさはかぞくをたすけるためにしかたなく────!」 私は親まりさの行動を思い返す。 確かに、親れいむほど悲しみに打ち震えていなかったが、子まりさほど死んだ者を罵倒してもいなかった。 子れいむの足を引っ張って死なせたのも子まりさだ。親まりさじゃない。 親のほうのまりさは、割といい親だったのかもしれない。 こいつの言い分を鵜呑みにするならば、必要以上に悲しみに暮れなかったのも、一家の大黒柱の責任故だったのかもしれない。 でもそんなの関係ねえ。 「でもな、まりさ?」 「ゆっ?」 「そのまりさが助けたようとした家族、子れいむ以外みーんな死んじゃってるけど?」 「ゆっ!? ゆゆゆゆっ……!」 私の言葉にガタガタを震える親まりさ。 気づいたのだ。多数を助けるために少数を犠牲と成すやり方で、助かったのは少数なのだと。 「で、でもっ! れいむはいぎで────」 「こんなクズな親のもとにいたられいむゆっくりできないから、この子は私がもらっていくね?」 「「ゆっ!?」」 それまで黙っていた子れいむまで驚愕する。 そんなゆっくりには構わず私は子れいむを掴むと着ていた服の懐に入れた。 くぐもった「ゆ゛っーーー!!」とした声がわずかに聞こえてくるが無視しておく。 「ゆ゛ぅぅぅぅ!! ゆっぐりやめてね!!! まりざのごどもがえじでね!!」 子供を取り返そうと飛び掛ってくる親まりさの顔面を掴んでやると私は立ち上がり、そのまま表まで歩いていった。 手の中で「ゆがぁぁぁぁ!! はなぜぇぇぇぇ!!」と親まりさが喚いている。 吐息が気持ち悪かった。 私は人里の中を親まりさを掴んだまましばらく歩く。 道行く人、妖怪が親まりさの叫びに気づいてこちらを見やるが、私がゆっくりを掴んで歩いているのを見ると「なんだ、ただの虐待お兄さんか」と視線を外した。 そして私は人里の中で、二つの通りが交差する場所まで来ると、親まりさを地面へと落とした。 「ゆべっ!?」 ずでん、と転がる親まりさを一回蹴った後、私は懐からさっきの子れいむを取り出した。 「ゆっ! れいみゅをかえちてくれりゅの?」 無視。 「さてまりさ。選ばせてやる」 「ゆっ、ゆっ、まりざのごどもをがえ────」 「黙れクズ饅頭。喋っているのは私だ」 まともに会話できそうにないので口元を踏みつけて黙らせた。 しばらく「ゆ゛ーーー!! ゆ゛ーーー!!」と身を捩じらせていたが私が足をどけないと分かると少し静かになった。 「さて、お前に選ばせてやる」 そういいながら手の中の子れいむを眼前に突き出してやる。 子れいむも煩いので指を口に突っ込ませて黙らせている。 「お前があくまでこいつを返して欲しい、と私に戦いを挑むのであれば、こいつは死ぬ」 「「────っ!?」」 ゆっくりの目が見開かれる。 「だが、お前がこいつの命を助けて欲しいと願うのであれば、私はこいつをゆっくりさせてやるし、お前も逃がしてやろう」 私はそこで足をどけてやる。 「ゆっ! おじさんほんと!?」 「おにいさんだクズ饅頭」 口に蹴りをぶち込み歯を二、三本折ってやる。 「あぎゃぁッああ!! …………ゆ゛っ、おにいさん、ほんどう? そのごゆっぐりざぜでぐれる?」 「ああ、もちろんだとも」 「このまままりざががえれば、そのごゆっぐりでぎるの?」 「その通りだ」 このやり取りの間、子れいむはずっと声も出せず泣いていた。 目の前で親が見るも無惨にやられている。 悔しいのか、悲しいのか。 私にとってはどちらでもどうでもいい。 ただ指にたれてきた涙の生暖かさが、こいつは〝私流〟にゆっくりさせてやろうと決意させただけだ。 私は親まりさの頭をつかむと後ろを向かせてやった。 「道が二つある。どちらでも好きな方へ行って帰れ」 そう言ってやると、親まりさはしばらくその場で悩んだ。 だが、答えはもう決まっているだろう。 「ゆ゛っ、わがっだよ。まりざはおうぢがえるよ。だから、まりざのごどもゆっぐりざぜてね?」 「ああ、約束だ」 「じゃあね…………バイバイ……」 そう呟く親まりさの語尾は尻すぼみに消えていった。 やがてとぼとぼと左右のうちの右の道から里の外へと向かっていく親まりさ。 私は子れいむの口を塞いでいる指を抜いてやった。 「ゆぐっ……! おとうしゃぁぁぁぁぁん!!」 親を呼ぶ子の声。 今生の分かれとなる親子の、最後の会話。 親まりさは子れいむの声に振り返ると、くしゃり、とその顔を涙で崩すと、精一杯の声で叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それで最後。 親まりさは子れいむの反応も見ずに全力で駆け出した。我が家へと。 親まりさの選択は正しかった。 命あってのものだねだ。 最後は二匹になってしまったが、全滅はしていない。 あの親まりさも私が見逃してやったことによって、やがてまた新しい所帯を持つことだろう。 この悲劇を教訓に、次こそゆっくりとした生涯を送るであろう。 次こそ、そう次こそ────。 「見逃してあげても、よかったんだけどねぇ」 君が悪いんだよ、まりさ。 私は選ばせてやった。〝どちらの道で帰るか〟を。 なのに君はそっちを選んだ。 あぁあ、なんてこったいまりさ。 君が逆の道を選んでいれば、幸せになれたかもしれないのに。 君が、いけないんだよ。 君がそっちの道を選ぶから 「君は、彼女へのプレゼントだ」 親まりさが選んだ道。 そこにはある伝統の家系の家がある。 幻想郷を見続けてきた、幻想郷縁起を編纂してきた名家。 稗田家が、ある。 全力で駆けるまりさが、稗田家の前に来た瞬間、私はまりさに『腹話術』をかけた。 「〝あっきゅうちゃ~~~ん。あっそびましょ~~~う〟」 おわり 子ゆっくりの運命は…… ───────── あとがきのようなもの コミックス版「魔王」最新刊五巻を読み終わった勢いで書いてしまいました。 そのため文体が安定していないかもしれません、申し訳ありません。 他に書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前) このSSに感想を付ける
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ここは、ゆっくり達が住む森の更に奥。 そんな森の中に、ゆっくり一家が住んでいた。 そして、森の奥深くに住んでいたので、人間については話に聞くだけだった。 「ゆ~っくりしようね!!」 「ゆっくりおさんぽするよ!! しっかりついてきてね!!!」 日課のお散歩。 今日は天気が良いので、少し遠くまで出かけるようだ。 「ゆっくり!!」 「ゆっゆ!!」 「ゆ~~♪」 この一家は特に仲良し。 それは、この母親がはじめての子育てだからだ。 交尾相手のゆっくり魔理沙は交尾が終わると干からびて死んでしまった。 残された魔理沙の子供と自分の子供、合わせて十数匹を育てる母親霊夢。 根が純粋なので、一家もどこかのほほんと育った。 「ゆっゆ♪」 お母さん霊夢の周りを、未だ飾りが生えていない赤ちゃんゆっくり達が踊るように飛び跳ねる。 珍しく、誰も離れないので、何時もより長い距離を散歩できた。 「ゆゆ!!!」 そしてたどり着いた人里。 大きな家々はこの一家には高い洞窟のように見えるかもしれない。 その中の一軒、新しく建てたのであろうその家に一家は心を奪われた。 「ゆ~!! すっご~~い!!」 「かっこいいど~くつ~♪」 「おか~さんはいってみようよ!!!!」 「「「「ゆっゆゆゆ~♪」」」」 家に目を奪われながら、ゾロゾロと庭まで入ってゆく一家。 しかし、厳重に施錠がしてある家に、進入手段を見つけられない。 「ゆ~……。ゆゆ!! ここからなかがみえる!!!!!」 「すごい!! ここからはいれるよ!!!」 一枚のガラス越しに、中を見ていた一匹の赤ちゃん霊夢が叫んだ。 即座に、ガラスに向かって体当たりするお母さん霊夢。 「ゆゆ!! まくがあるよ!! !!! ゆーーーーーくり!!!!!」 思い切り助走をつけ、ガラスに当ってゆく。 その衝撃に、ガラスはゆっくりが通れる程の穴を作った。 「ゆ~♪ ひろいどーくつ~♪」 「すご~~い!!!」 入った先はリビングだった。 物珍しそうに辺りを伺うゆっくり一家は、この後探検を始めた。 ―― 男が家に帰ると、リビングの明かりが点いている事に気付いた。 消し忘れか、と思い急いで玄関を開けると、中からは楽しそうな話し声が聞こえてくるではないか。 その言葉の中には、ゆっくり、という単語も含まれていた。 全てを悟った男は、勢いよくリビングのドアを開け放つ。 「ゆ~っくりくり♪ ゆっゆゆ~♪」 一番初めに目に付いたのは、壊されたテレビの近くて歌を歌っていたゆっくり霊夢の赤ちゃん。 次は、買い置きしていた瓶の中身を床にばら撒き美味しそうにのんでいる赤ちゃん魔理沙。 壊れた窓、中の綿が飛び出しているソファー。 そこで追いかけっこをしている沢山の赤ちゃんゆっくり。 「ゆっくりしていってね!!!!!」 声の下方向へ向き直ると、そこにはソファーの中身を集めている一匹のゆっくり霊夢。 どうやらこれが親らしい。 男は確信した。 「ゆっくりしていってね!!!!」 言葉に反応を示さなかったのが気になったのか、お母さん霊夢は今一度男に呼びかける。 「おにーさんもここをみつけたの? れーむたちもここをみつけたんだよ!!! いまね、あかちゃんたちにゆっくりできるべっどをつくってあげてるの!!」 今まで、話でしか人間を知らなかったお母さん霊夢が、ピュアな瞳で話を続ける。 「おにーさんもこのどうくつでゆっくりする? ここにはゆっくりできるものがいっぱいあるよ!!!」 「ゆゆ~~♪」 「ゆっくり~~♪」 赤ちゃんゆっくり達も、男の近くに集まり出してきた。 そのどれもが、ピュアな瞳を男に向けて言葉を発している。 「ここは、俺の家だよ」 その視線に呆気に取られていた男だが、何とかそれだけを口に出した。 「ゆゆ!! そうなの!!!!」 心底ビックリしたようにお母さん霊夢は呟いた。 もしも、これで引いてくれるなら、まだ考えてやっても良かっただろう。 「だったらおにーさんもいっしょにゆっくりしよう!!!」 ニパー、っと、満面の笑みを浮かべて男に提案するゆっくり霊夢。 更に、彼女の話は続く。 「みんなでゆっくりするのはたのしいよ!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」」 最後は、子供達も声を合わせての大合唱。 それが終わると、この話は終わったようで、子供達は男の周りでキャッキャと飛び回る。 「おかーしゃん、おなかへっちゃ~!!」 そんな中、一匹のゆっくり魔理沙が母親に食事を催促する。 「ゆゆ!! そうだね!!!」 催促された母親は、男の方を向き、先ほどの笑顔で言い放つ。 「おにーさん!! はやくごはんたべようね!!! れーむはあかちゃんたちのめんどうをみてるから、おにーさんはごはんをじゅんびしてね!!!!」 夫に話しかけるように、フレンドリーに男に食事の用意を言い放ったお母さん霊夢。 男が怒りで震えている事は、気が付かないようだ。 しかし、男はこの場は一旦引いた。 そして、リビングのドアから奥へと消えていった。 ―― 「おい。ごはんを持って来たぞ。お母さん霊夢、は何処だ?」 暫くしてリビングへ戻ってきた男。 その手には、確かに何か持っている。 「ゆゆ!!! いまいくよ!!! ゆっゆゆゆ~♪ ゆっくり~していってね~♪」 一塊の、音痴な合唱をしていた集団から声が上がる。 呼び出された母親だ。 元気よく男の下へ駆け寄っていく。 瞬間。 ズボ! 「ゆ!! ゆゆゆ!!!!!!」 霊夢の頭に何かが刺さった。 「ゆーーー!!! いだいよーーーー!!!! ゆぐりさせでーーー!!!!!」 それは、筒の先に注ぎ口が付いた様なもの。 こちらの世界で例えるなら、ボトル容器のポンプ部分。 男はそれをお母さん霊夢の頭に突き刺したのだ。 「ゆーーーー!!!!! おうじがえらせでーーー!!!!」 「おかーーさーーーん!!!!」 「ゆっくりさせてあげてーーーー!!!!!」 やがて、お母さん霊夢の周りに子供達が駆け寄ってくる。 全員がそろった事を確認すると、男は数回ポンプを押した。 ベチョ! ベチョ! 母親の目の前に集まっていた赤ちゃんゆっくりの前に、餡子が次々に落ちてゆく。 「いだいよ!!! ゆっくりさせでーー!! おうじかえるーー!!!!」 「ゆっくりさせてあげてね!!!」 「ゆっくりさせてあげてね!!!」 半透明なチューブ部分、そこを黒い物体が移動するのを見て、何かが母親の体から抜けている事は分かるのだろう。 赤ちゃんゆっくり達は、必死に声をあげてゆっくりさせてあげて、と男に良い続ける。 「ほら、ごはんだよ。ゆっくりたべていってね!!」 「ゆーーーー!!!」 既に大粒の涙をこぼしている母親の前で、赤ちゃんゆっくり達を急かす。 赤ちゃん達も、それが母親の所から出た事はなんとなく理解しているが、何となくなので意識では理解していない。 「ゆ? ゆゆ?」 一匹の赤ちゃん霊夢が、ソロソロと餡子の山に近づいていく。 パク! 一口食べる。 「!!!!! おいちい!! あまくておいちい!!!!」 直ぐに、驚いた顔を浮かべ更に一口・二口と食べ進めてゆく。 「ゆゆ!! ほんとうだ!!!!」 「れーみゅもたべるーー!!!」 「まりしゃもーーー!!!!」 次々と、餡子の山に赤ちゃん達が群がってゆく。 「ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆゆゆ~♪」 「ゆ~~~~~!!!! ゆ~~~~~~!!!!!」 その様子を見て、更に涙を流すお母さん霊夢。 それは自分から出たもの、それを美味しそうに食べる赤ちゃん達。 どうして良いのか分からずに泣いているのだ。 「おい!!! 自分の母親の餡子を食べるとは何て奴だ!!!」 「ゆぶ!!!」 ここに来て、漸く男がお母さん霊夢の心労を軽減させた。 餡子を食べるのはお仕置き、という手段で。 真上から殴られたゆっくり霊夢は、一番最初に駆け寄ってきたゆっくりだった。 今は、体から大量の餡子を流しながら、必死に他の赤ちゃんの元へ近づいてゆく。 「ゆ! ゆっぐり……しようね!……」 餡子の後を残し、その赤ちゃんは、他の赤ちゃんの目の前で命を落とした。 「ほら、お前もだ!」 「ゆぐひゃ!!!」 その近くに居た赤ちゃん魔理沙へも鉄槌を下す。 今度は、力が入りすぎたのか一瞬で絶命した。 「まだまだ終わってないぞ!!」 「ゆっくりしゃせてね!!」 「にげよーーね!!」 「おうちかえるね!!!」 「ゆ……!! ぐえ!!!」 騒然と逃げ惑う中の一匹に的を絞り、後ろからBBQ用の串を放つ。 見事、後ろから口に向かって貫通したそれを、カセットコンロにかけ焼き饅頭に仕上げていく。 「あじゅいよーー!!! たずけでーーーー!!!!」 「れーみゅをはなしてね!!!」 断末魔の叫びを上げながら焼かれている赤ちゃん霊夢の元へ、一匹の赤ちゃん魔理沙が駆け寄ってきた。 「あずいーー!! おかわにはいろーー!! おがーーさーーーん!!!」 無謀にも、男に攻撃しようとしているのだ。 「れー!! むびゃら!!!!」 スリッパで簡単に潰されてしまった魔理沙。 時を同じくして、喋らなくなった焼き饅頭も完成した。 「!! むひゃ!!!」 「あぎゃああ!!!!」 「こっこぁ!!!!」 「うぎゃーーーーー!!!!」 焼き饅頭片手に、男は次々とゆっくりを駆逐していく。 「やめてあげてね!!! あかちゃんがゆっくりできないよ!!!!」 「やめてあげてね!! れーむたちはもとのどーくつにかえるから、こどもたちをおこしてね!!!」 痛みは引いたが、頭にポンプを差し込まれ目の前の光景を見せられているお母さん霊夢は、ただただ男に語りかけるしかない。 「やめ!! ゆゆゆ!!!」 それも、終わりを迎えた。 全ての赤ちゃんゆっくりを処分した男は、煩いお母さん霊夢のポンプを更に数回押したのだ。 あれほど煩かったお母さんゆっくりは黙り、代わりに大量の涙を流す。 「それじゃあ行こうか?」 「ゆーー……。どごへ?」 男に抱きかかえられながら、何とかそれだけ言葉をひねり出す。 「加工場だよ。これが製品化されれば、一攫千金だからね!」 「いいいやだーーー!!! おうじ!! おうじにかえらせでーーーーー!!!!!!」 加工場の事を知っているのか、はたまた自分の運命を感じ取ったのか。 闇夜に浮かぶ加工場の看板を見ながら、男はそんな事を考えていた。 このSSに感想を付ける
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※初SSなので文章に変な所があるかも ※虐待成分薄め 「う~ん、コレはさすがに買いすぎたかな」 そう言った俺は大きな袋を2つ抱えていた。 袋の中身は瓦煎餅だ、瓦煎餅とはその名の通り、瓦のように固い煎餅である。 元々好物ではあったのだが、そのとき対応してくれた店員の女の子が可愛かったので、 つい見得を張ってしまって買いすぎたのだ。 「さすがにこれだけあると食べきれないしなあ・・・、隣の虐待お兄さんにでもあげるか」 虐待お兄さんと仲がよいといっても、俺は虐待派ではない。あくまで、制裁派だ。 「でもあの虐待お兄さん少し捻くれてるから素直に貰ってくれそうにないな・・・」 そんな独り言を言っているといきなり何かが茂みから飛び出してきた。 「ゆっくりしていってね!!」 それはバレーボールほどの大きさのゆっくりれいむだった。 「何だゆっくりか・・・、お兄さんは、ゆっくりしてるよ」 「ゆ?おにいさんそのふくろのなかみはなんなの?」 ゆっくりれいむがこちらの持っている袋に気づいたようで中身を聞いてきた。 「ああこれは煎餅だよ、君も食べるかい?」 そう言いながら、袋から1枚取り出しゆっくりれいむに見せる。 「ゆ?いいの?でもこどもたちにもたべさせてあげたいからいえまできてくれる?」 この母れいむは、家族思いのいい奴だったらしい。 「よし、着いて行こうじゃないか」 「ゆ!じゃあ、ゆっくりあんないするよ」 ゆっくりれいむはこっちだと教えるようにこっちを時々振り返りながら先を進む。 5分ほどすると、ようやく巣らしきものが見えた。 「ここがれいむたちのいえだよ、ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりれいむ達の家は広くしっかりしており、 大人3人が入ってもまだ余裕があるくらいのゆっくりにはもったいない広さだった。 先にゆっくりれいむが中に入っていったので、俺もそれについて入っていく。 「みんな!ゆっくりただいま!!ちゃんとゆっくりしてた?」 「おかーしゃん、おきゃえり!」 「れいみゅはちゃんとゆっきゅりしてたよ!!」 「そのおにーしゃんだれ?ゆっきゅりできるひと?」 巣の中にはピンポン球ほどの赤れいむが3匹とれいむ達より 2回りほど大きい寝ている子まりさが2匹。 つがいは見当たらない様なので、すでに食われたりしたのだろう。 「このおにーさんはゆっくりできるひとだよ!おせんべいさんをくれるいいひとだよ!」 「「「ゆっ!にゃらだいじょうぶだにぇ!!」」」 子れいむたちが声を合わせて言う。 「おにーしゃん、おしぇんべいさんちょうだい!」 「はやく、ちょうだいにぇ!」 「しゃっしゃと、たべさしぇてね!」 子供達は次々と要求を口にする。 子れいむ達の相手の怒りを誘うような言葉を俺はスルーする。 「ねてるこたちもはやくおきてね!おいしいものがたべられるよ!!」 そう言いながら、母れいむは寝ている子供達を起こしに行く。 子まリさ達が目を覚まし口々に言う。 「はやくおいしいものをよこすんだぜ!!」 「まりさにたくさんたべさせてほしいんだぜ!」 母れいむはいい奴なのに何で、子ゆっくり達はこんなにむかつく奴なのだろう。 「さっ、これがお煎餅だよ、ゆっくりたべてね!!」 そういいながら袋から煎餅を何枚か取り出し、子ゆっくり達の前に置く。 「じゃあまず、みんなにおせんべいさんをわけるね!!」 長いこと1匹で育ててきたのだろう、かなりしっかりしている母れいむだ。 その瞬間、子まりさ達が煎餅に向かっていく。 「このせんべいはまりさたちがぜんぶいただくんだぜ!」 「れいむたちはそこでゆっくりしてるんだぜ!」 本当に同じ親から生まれたのかと疑うような発言をする。 子まりさたちはゲスだったようだ、母れいむよかわいそうに。 「「ゆっくりたべられてね!」」 そう言いながら子まりさが煎餅に思い切り齧り付く。その瞬間子まりさ達が泣き叫ぶ。 「ま゛り゛ざのはがお゛れぢゃったよ~!!」 「この゛かたいせんべいなに~!!」 どうやら煎餅が固すぎて歯が折れたようだ。 「りぇいむたちよりしゃきにたべようとしたかりゃだよ!」 「てんばちゅがくだったんだにぇ!」 「しょんなことすりゅまりしゃはゆっきゅりしにぇ!!」 子まりさ達の様子を見て赤れいむ達は罵倒する。 「みんなゆっくりおちついてね!みんなでなかよくたべるよ!」 「「「ゆっきゅりりかいしたよ!!!」」」 「「ゆっぎゅりりかいしだよ・・・」」 子まりさ達の方は口の中が痛いのか心持ち元気がない。 子ゆっくり達を落ち着かせた母れいむが煎餅を分けようとする。 「ゆっ、ゆぎっ!がっ」 だが母れいむがどんなに力を入れても煎餅は割れそうにない。 中々割れないのでおかしいと思ったのか、こちらを向いて話してくる。 「おにいさん!このおせんべいさんはほんとうにたべられるおせんべいさん?」 「普通に食べられる煎餅だぞ」 そう言いながら、袋から煎餅とりだし齧る。 「ゆっ!ふつうにたべてるね」 と、煎餅が普通に食べられる事を教え、ふと子ゆっくり達のほうを見ると 勝手に煎餅に向かっていき、食べようと悪戦苦闘していた。 「ゆゆゆっ、ぐがっっ、がぎっ」 歯が残っているほうの子まりさが奮闘している。 「まりさがたべられるようにがんばるんだぜ」 歯が折れたほうはただ応援しているだけだ。 赤れいむ達も他の煎餅に齧りついているが、まったく成果が出ない その輪に母れいむも加わっていく。 10分ほどが過ぎたが、煎餅が食べれた気配はない。 「にゃんで、おしぇんべいしゃんたべりゃれてくりぇにゃいの~!!」 「はがいたくてゆっきゅりできないよ~!」 「このおしぇんべいしゃんがたべりゃれなくてゆっきゅりできないのはおかあしゃんのせいだね!!」 「きっとそうだぜ!」 「はがおれたのもきっとおかあさんのせいだぜ!!」 何ということか、とうとう子ゆっくり達は煎餅が食べられないのは 母れいむのせいだと責任転嫁し始めた。 「な゛んでそんな゛こどいうの゛~~!!」 母れいむが泣き叫ぶ。 さすがにここまで荒れると元通りの家族関係に戻すのは不可能に近い。 良い母れいむだったが、ここでお別れだ。 「じゃあ、お邪魔みたいだからそろそろ帰るね!」 そう言って俺は最後にゆっくりしていってね!!と言いゆっくりの巣から出た。 「結局あまり煎餅は減らなかったな・・・、とりあえず虐待お兄さんに 普通に渡しても貰わないだろうから、新しい虐待方法を思いついた!とか言ってあげるか。」 あとがき お兄さんの顎の力が凄いのは気にしちゃいけない所。 このSSに感想を付ける
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※台詞のみで構成されます ※虐待分は薄めです 「やあ、れいむにまりさにおちびちゃんたち。 ゆっくりしていってね・・・」 「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「ゆっきゅりちていってね!」」」」」 「ゆゆっ! おにいさんはゆっくりできるひと?」 「・・・分からない」 「ゆぅ? どうしてわからないんだぜ?」 「なら、君たちは今ゆっくりしているかい?」 「あたりまえだよ! れいむたちはすごくゆっくりしてるよ!」 「そうか。 でも、私には君達の言うゆっくりが何なのか分からないんだよ」 「ゆぅ? ゆっくりはゆっくりだよ! ゆっくりりかいしてね!」 「それじゃ答えになっていないよ・・・。 そうだ、君に質問してもいいかな?」 「ゆっくりこたえるよ!」 「ありがとう。 なら、ご飯がいっぱいあればゆっくりできるかい?」 「あたりまえだぜ! とってもゆっくりできるんだぜ!」 「そうか。 なら、君の子ども達を全員殺す代わりにたくさんの食べ物をあげると言ったらゆっくり出来るかい?」 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃんたちにひどいことしないでね!?」 「そんなつもりじゃないんだ。 もし、そう言ったらどうするか、と聞きたいだけなんだよ」 「そんなのおことわりなんだぜ! みんなでいないとゆっくりできないんだぜ!」 「でも、君たちはさっき食べ物がたくさんあればゆっくり出来ると言っていたよね?」 「ゆっ!? でも、やっぱりおちびちゃんがいないとゆっくりできないよ!」 「じゃあ、おちびちゃん達がいれば食べ物がなくてもゆっくり出来るのかい?」 「そんなわけないんだぜ! ぽんぽんがぺこぺこだとゆっくりできないんだぜ!」 「おかしいな。 食べ物がいっぱいあればゆっくり出来る。 家族がいればゆっくり出来る」 「「「「「にゃにがおかちいの?」」」」」 「だって、家族が少なければ一人当たりの取り分が増えるだろう?」 「そうだね!・・・・・・ゆゆっ!?」 「じゃあ、なんで食べ物が少なくなる原因である家族が一緒にいないとゆっくり出来ないんだ?」 「でもまりさたちはゆっくりしてるんだぜ!?」 「ああ、それは知ってる。 じゃあ、なんでゆっくり出来るんだ?」 「それは・・・」 「だって、そうだろ? ご飯がいっぱいあればゆっくり出来るんなら子どもがいないほうがもっとゆっくり出来るはずじゃないか?」 「そんなことないよ!」 「でも、食べ物がいっぱいあればゆっくり出来るんだろ?」 「あたりまえなんだぜ!」 「でも、君たちは家族がいないとゆっくり出来ない」 「あたりまえだよ!」 「なら、冬になって食べ物が少なくなっても君たちはゆっくり出来るのかい?」 「「「「「ぽんぽんがぺきょぺきょだちょゆっくちできにゃいよ!」」」」」 「でも、家族がいればゆっくり出来るんだろ?」 「「「「「しょーだよ!」」」」」 「しかし、ご飯がないと家族が死んでしまうよ?」 「そうならないようにあきになったらいっぱいごはんをあつめるんだよ!」 「そうだね。でもその間他の動物も越冬の準備をしているよね?」 「ゆぅ?それがどうしたんだぜ?」 「ご飯を集めに行っている間に子ども達が食べられてしまうかもしれない」 「「「「「ゆえーん! どうちてしょんなこちょいうにょおおおおお!?」」」」」 「だったらまりさがおうちでおちびちゃんたちをまもるんだぜ!」 「ご飯集めはどうするんだい?」 「れいむががんばるよ!」 「それじゃあ、その間れいむは全然ゆっくり出来ないじゃないか?」 「そのぶんふゆにゆっくりすればいいんだよ!」 「頑張って集まるなら苦労しないだろ? ご飯が集まらなくて子ども達を死なせたらまりさがおうちに残った意味がないじゃないか」 「ゆゆっ! ちがうよ! まりさがまもってくれないとふゆのまえにしんじゃうんだよ!」 「大体、まりさがいたところで熊や人間に襲われたらひとたまりもないじゃないだろう。 勝てると思うか?」 「それでもまりさはおちびちゃんをまもりたいんだぜ!」 「で、れいむ一人を残して死ぬのかい? それじゃれいむがゆっくり出来ないだろう?」 「ゆぐっ・・・・・・じゃあ、どうすればいいんだぜ?」 「君がおうちに残れば虫からは子どもを守れる。 でも、強い生き物と出会ったられいむを一人にさせてしまうし、ご飯も集まらない」 「ゆぅ・・・」 「君がれいむと一緒にご飯を集めに行けばご飯がたくさん集まるけど、子ども達は小さな虫に殺されるかも知れない」 「「「「「みょーわからにゃいよー!」」」」」 「それだけじゃないぞ」 「ゆゆっ! まだなにかあるの!?」 「一緒に外に行くとれみりゃに襲われたりした時に子ども達を育てるものがいなくなってしまう」 「ゆぅ・・・みつからなければいいんだぜ!」 「そうだな。 でも、れみりゃ達だって冬を越えるために必死なんだ。 そう簡単にいくと思うかい?」 「ゆ・・・それは・・・」 「だったられみりゃがはいってこれないおうちにすればいいんだぜ!」 「「「「「ゆゆっ!しゃしゅがおかーしゃん!」」」」」 「答えになっていないし、それじゃあ狭いぞ?」 「でも、あんぜんだよ!」 「だったら、どうして今お前達は広いおうちに住んでいるんだ?」 「ゆっくりできるからだぜ!」 「じゃあ、狭いおうちでゆっくり出来るのかい?」 「おちびちゃんたちがあんぜんならゆっくりできるよ!」 「だが、さっき広いおうちはゆっくり出来るといっていたじゃないか?」 「おちびちゃんたちのあんぜんがいちばんだよ!」 「それに・・・狭いおうちはそんなにも安全なのか?」 「「「「「ゆぅ?」」」」」 「もし、蛇や大ムカデが来たらどうするんだ?」 「れいむたちがやっつけるよ!」 「しかし、狭いとお前達は這いずることしかできないだろう? そもそも勝てるかも怪しいな」 「じゃあ、ひろいおうちのほうが・・・」 「広いおうちに住むとその分大きくて強い敵に襲われるぞ」 「「ゆゆっ!?」」 「じゃあ、ちょっとだけせまいおうちにするよ!」 「中途半端が一番危ない。 人間が腕を突っ込めればそれでおしまいだよ」 「「ゆーーーーーっ!?」」 「そもそも、人間が腕を突っ込めない大きさの巣じゃ親の君たちが中に入れない」 「「だっだらどほずればいいの!?」」 「分からないな。 それに、まだ問題がある」 「まだあるの!?」 「ああ。 狭いおうちだと殆ど身動きが取れないかもしれないだろう?」 「「「れーみゅたちはおきゃーしゃんがいれぇばゆっくちできりゅよ!」」」 「「まりしゃもだよ!」」 「お前達は大丈夫だろう。でも親の君たちはどうなんだい?」 「まりさたちはおちびちゃんがいればゆっくりできるんだぜ!」 「れいむもだよ!」 「そうか。でも、ずっと動かないでいると春になったときに殆ど動けないぞ?」 「「「「しょんにゃのかんけーにゃいよ!」」」」」 「いや、関係あるんだ。 春になったときにどうやって餌を集める?どうやってれみりゃから逃げる?」 「ゆ、ゆっくりがんばるよ!」 「頑張ってどうにかなるなら苦労しない」 「ゆゆっ!でも、おちびちゃんがぶじならそれでじゅうぶんだぜ!」 「お前はそうかもしれないが、子ども達は悲しい思いをするぞ? 餌集めだって自分でしなきゃならなくなる」 「「「「「おきゃーしゃんがいにゃいとゆっくちできにゃいよ!」」」」」 「分かるだろう?こいつらはお前達がいないとゆっくり出来ないんだ」 「ゆぅ・・・なられいむたちがんばってゆっくりするよ!」 「どうやればゆっくり出来るんだ?」 「がんばっておちびちゃんたちをゆっくりさせてあげるんだよ!」 「頑張る、じゃあどうにもならないって言ってるだろう?」 「じゃあ、ひろいおうちでふゆのあいだゆっくりするよ!」 「広いおうちだと人間に襲われるぞ?」 「じゃ、じゃあせまいおうちでゆっくりするんだぜ!」 「運動能力が低下して春先にゆっくり出来なくなるぞ?」 「「ゆううううううううううううう!?」」 「それに・・・・・」 「「まだあるのおおおおおおおおお!?」」 「どんなに頑張っても子ども達を守れなかったらどうするんだ?」 「ゆゆっ!? がんばってまもるよ!」 「頑張って守ろうとしたせいで全員が死ぬことになるかもしれないんだぞ?」 「「「「「ゆゆっ!?」」」」」 「それなら1匹2匹は諦めて逃げたほうがゆっくり出来るんじゃないか?」 「ゆぅ・・・でもぉ・・・」 「それだって問題がある。 君たちは家族全員一緒じゃないとゆっくり出来ないんだよな?」 「そうだよ! みんななかよしさんなんだよ!」 「じゃあ、1匹でも死んだらゆっくり出来なくなるんじゃないか?」 「ゆ゛ぐっ!?」 「でも、下手に守れば全員が死んでしまう。 君たちは子ども達が死んでも平気かい?」 「ぞんなわげないでぢょおおおおおおお!?」 「じゃあ、守れない子は見捨てて逃げるのかい? 大事な家族なのに」 「ゆぎぃ・・・!?」 「子ども達だっていつかあっさり捨てられるかもしれないのにゆっくり出来るのかい?」 「「「「「ゆゆっ!?」」」」」 「お、おかしいんだぜ・・・なにをしてもゆっくりできないんだぜ!?」 「そうだろう。 だから私は分からないと言っているんだ・・・」 「ゆ、ゆっくりって・・・なんなんだぜ?」 「それも分からない。子どもを守る苦しみを味わうくらいなら子どもなんて居ない方が良いのかもしれない」 「そ、そんなわげない・・・よっ!?」 「「「「「しょーだよ!へんにゃこちょいわにゃいでね!?」」」」」 「しかし、子どもが居なければ子どもに関係するゆっくり出来ないことが解消するぞ?」 「で、でも・・・おちびちゃんたちといるとゆっくりできるんだぜ?」 「そうか。 でも、ゆっくりできるもののためにゆっくり出来ないなんておかしいと思わないか?」 「ゆ・・・ゆゆ・・・ゆっくりってなんなんだぜ!?」 「分からない。 分からない・・・。 家族といるとゆっくり出来るが、家族のためにゆっくり出来ない。 広いおうちは危なくて、狭いおうちは動けない」 「やべでよ! もうぎぎだぐないよ! ゆっぐぢでぎないよ!?」 「子どもを見捨てるとゆっくり出来ないけど、助けようとするとゆっくりさせてあげられない。子どもがいるからゆっくり出来る。 でもいるからこその悩みでゆっくり出来ない」 「「「「「やめちぇえええええええええええええ!」」」」」 「分からない・・・私には君達にとってのゆっくりが何なのか全く分からないんだ・・・」 「まりさも・・・わからないんだぜ・・・。 ゆっくりって・・・いったいなんなんだぜーーーーっ!!?」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 俺は寧ろこのお兄さんに何があったのかを知りたいよ byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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「う~、ぷっでぃ~んおいしいど~♪」 「むきゅ!このけんきゅうしりょうはきょうみぶかいわ!」 「むこうであそぶんだぜ!」 「ゆふ~」 好物に舌鼓を打つもの、ただの広告チラシを百科事典と勘違いするもの、家においてある遊具で遊ぶもの、何もせずただぼーっとしているだけのもの。 とある家の一室でみな思い思いの方法でゆっくりしている。 彼女達はこの家の主である青年の飼いゆっくりだ。 しかし普通のゆっくりとは違う部分がある。 それはこのゆっくり達がすべて体つきの固体だからだ この家の主である青年はゆっくりのコレクターだ。 ただのコレクターではなく、体つきのゆっくり専門とするコレクターである。 「ゆ!おにいさん!まりさもあまあまたべたいよ!もってきてね!」 「はいはい、わかったよ」 体つきまりさの尊大な口調にもニコニコ顔で請け負う青年。 彼はここのゆっくり達がゆっくりする事に関して手間を惜しまない。 それが自らのコレクションを最高品質に保つもっともよい手段だと分かっているからだ。 ましてそれが希少種を通り越して奇形種とまで言えるようなまりさの要求であればなおさらだ。 いそいそと台所に向かう青年。 自慢のコレクションのすばらしさをかみ締めながらプリンを用意した。 「ああそうそう」 「むきゅ?」 青年は読めもしないチラシを見ていたぱちゅりーを抱えると楽園とも呼べるその部屋を後にした。 所変わってここは家の地下室。 ここにも体つきのゆっくり達がいる。 しかしその様は先ほどと同じ家とはとても思えないものだ。 青年はとある特殊な用事のためにその部屋へ足を踏み入れた。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ゆ!おじさん!れいむをはなしてね!」 青年が入るなり罵声が飛び交った。 数対の体つきゆっくり達が木でできた簡素なベッドに固定されオレンジジュースをチューブで与えられている。 ここはゆっくり達の養殖場だ。 体つきゆっくりの子は比較的体つきとなる可能性が高いため不要になった体つきゆっくりを養殖用の家畜としてここに置いている。 彼は最も質の高い個体が一種につき一体いればOKという主義だった。 「うああああ~!!!うばでるどおおおおお!!!!」 今まさに一匹のれみりゃが子を産もうとしている。 体つきは動物型にんっしんが多いため時間も手間もかかる。 しかし質のいい固体を生ませるには必要な手間だ。 犬や馬などと同じくゆっくりもやはり優秀な固体からは優秀な子が生まれやすいのだ。 すぽーんとれみりゃの下膨れから赤ゆっくり達が産み落とされる。 「う~…、れみりゃのあかちゃんだどぉ…、かわいいどぉ…」 「う~♪まんまぁ~♪」 「どれどれ。…はあ」 産み落とされた赤れみりゃは早速親に甘えようとしている。 親のれみりゃは出産の消耗で元気が無いものの素直に子供の誕生を喜んでいる。 しかし青年は産み落とされた子を見るなり落胆のため息を漏らした。 勢いよく出てきた時点で分かりきっていたことだがこの赤れみりゃは体無しだ。 「う?うべっ!!!」 それを確認すると青年はその赤れみりゃを勢いよく踏み潰した。 その光景に一瞬何が起きたか分からぬ表情をするれみりゃ。 しかしすぐにその光景の意味するところを悟り大声で騒ぎ出す。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!でびりゃのあ゛がぢゃんがあ゛ああ゛う゛う゛っ!!!!!!」 しかしその声も途中で掻き消える、なにせ次の子が生まれようとしているのだ。 結局生まれてきた子はすべて体無しであった。 無論すべて青年によって踏み潰されている。 「あ…ああ…れみりゃのあかちゃん…」 もはや悲しみを叫ぶ気力も無いれみりゃを無視し先ほどから呆然とその光景を見ていたぱちゅりーに振り返る。 ぱちゅりーには分からない。 なぜあの優しい青年がこんな残酷なことをするのか分からない。 なぜ自分がここに連れてこられたのか分からない。 なぜ自分を抱いている青年が他のゆっくり達と同じようなベッドに自分を固定しているのか分からない。 なぜ青年が自分にチューブを突き刺さすのか分からない。 さっきまで天国のような場所にいたのに。 さっきまでごほんを読んでとてもゆっくりしていたのに。 ぱちゅりーが考えているうちに作業は終わった。 もはや他の母体と変わらぬ有様に自分がどういう事態になったのかようやく理解する。 「むぎゅぅ!!!!はなしてぇ!!!!」 大声で懇願するが青年は耳一つ貸さない。 今まで何か言えば必ず聞いてくれた青年が一切話を聞かない。 その事実はぱちゅりーを大きく打ちのめした。 青年はというと先ほどとは別のぱちゅりーの前にいた。 「まったく何度も死産しやがって、もう代わりがいるからお前はいらないよ、この不良品」 「む、むぎゅううううぶべら!!」 青年は騒ぐぱちゅりーを踏み潰す。 加工所に持っていけばそれなりに高く売れるのだが独占してこそのコレクション。 彼は売ってしまうくらいなら自分の手で殺すことこそ愛情であるという考えなのだった。 死体は繁殖用のありすが食べてしまうだろう。 用もなくなったため青年は部屋から出ていく。 「むぎゅうううううううううううううう!!!!!!」 一体のぱちゅりーの悲痛な叫び声を残して。 さて先ほどの青年はまた別の場所を訪れていた。 「むきゅ!おにいさんこんにちは!」 「ぷっでぃ~んをよこすんだどぉ~♪」 「れいみゅはあまあまたべちゃいよ!もっちぇきちぇね!」 ここは子ゆっくりを育てる場だ。 無論すべて体つきである。 この中から青年のお眼鏡にかなったものは晴れてコレクション入り、この家で最高の扱いを受けることとなる。 逆にお眼鏡にかなわなかったものは先ほどの養殖場行きか捕食種達の餌となる。 青年は子ゆっくり達に餌を与えるとコレクション入りを果たしたぱちゅりーを連れて行く。 「むきゅ?みんなごはんたべてるのにどおしてぱちゅりーだけつれていくの?ぱちゅりーもごはんたべたいよ」 「ああすまない、別の場所で食べさせてあげるからご飯は少しまってね」 そう言いながら出口へと向かう。 他の子ゆっくり達は出された餌に群がっている。 最近生まれた連中は質もよくないし落第が多そうだ。 「おにいさんもういっちゃうの?ゆっくりしていってね!」 不意にそんな声がかけられる。 子まりさだ。 この子まりさは性格も温和で髪質も良好、肌も質がよくで順調に育てばすぐにでもコレクション入りを果たすだろう。 「お兄さんはまだやることがあるからね、後また来るよ」 「ゆっくりりかいしたよ!まりさはゆっくりまってるね!」 そんな言葉をかけながら自分も餌の元へ向かう。 数日後この子まりさの代わりに生意気な体つきまりさが天国から地獄へ落とされたのは言うまでもない。 この青年は後に新種のゆっくりの発見で世間をにぎわせることとなる。 それでも変わらず彼は自慢のコレクション達とゆっくりし続けた。 彼は本当にゆっくり達を愛していた。 ──────────────────────────────── 過去書いたもの 奇跡のゆっくりプレイス 醜い男 生きるための選択 このSSに感想を付ける
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ここに文字を入力注意書き: 某4コママンガを参考にしています。詳細は文末に示します。 秋も深まり、山々はすっかり紅葉で覆われ、少し肌寒い風が吹き抜けていく。 そんな日々、市場で買い物を終え自宅へ向かう途中のこと、 獣道を歩く僕の前に一匹のゆっくりれいむが立ちはだかった。 高さ40cm余り、横幅は60cmにもなるかなり成長した個体のようだ。 この獣道、普段は殆ど人が通らない場所で、言ってみれば秘密の近道ってとこかな。 「ゆゆ!おにいさん?こっからさきはれいむのおうちだよ! とおるにはゆっくりつうこうりょうをはらっていってね!!!」 「通行料?具体的には何が欲しいのかな?」 「ゆ、ゆーん… れ、れいむにおいしいおはなさんをおいていってね!!!」 「なんだ…花か。ほれよ。」 「ゆゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 相手するのも面倒だったので、僕は買い物袋の中からハーブをれいむに差し出すと、 足早に先へ進もうとした。なぜか右足が重い。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! こ、これだけじゃつうこうりょうがたりないよ!ゆっくりはらっていってね!!!」 なんと右足にれいむがしがみついて来たのだ。 ゆっくりにしては珍しい行動だったので再び問いかける。 「今度は何が欲しいと言うのかね?」 「ゆ!? ゆーん… ゆっくりあまあまのおさとうをちょうだいね!!!」 「なんだ…砂糖か。ほれよ。」 「ゆぐっ…! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「じゃあ僕は先に進むからね。」 僕は買い物袋から角砂糖とカリン糖を十数個差し出し、この場を後にしようとした。 再び右足に荷重がかかる。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! ま、まだつうこうりょうがたりないよ!!!ゆっくりはらっていってね!!!」 いくらゆっくりとは言え欲張りな行動である。 「今度は一体何が欲しいと言うのかな?」 「ゆゆ!? ゆーんゆーん… れいむにゆっくりはちみつさんをちょうだいね!!! もしはちみつさんがないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「蜂蜜か…。ほれよ。」 「ゆゆゆ!?どおじておにいさんはちみつさんなんかもってるの!!!」 「れいむがくれっていったんだろ?」 「ゆぐっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあわぜー!」 「今度こそ僕は先に進むからね。」 再び重くなる左足。何か他に理由があると言うのか…? 「ぞ、ぞごがらざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ま゙、まだまだづうごおりょおがたりないよ!!!ゆっぐじはらっでいっでね!!!」 「欲張りなれいむだね。今度は何が欲しいのかい?」 「ゆがっ・・!?ゆう・・・ゆーん・・・ れ、れいむにゆっくりあまあまなくりーむをちょうだいね!!! もしもっていないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「クリームか…。ほれよ。」 僕は買い物袋の中からコンデンスミルクを取り出すと、れいむの口に注ぎ込んでやった。 甘ければいい。細かいことはわからないだろう。 「ゆがっ!?どぼじでおに゙いざんぐぢーむなんがも゙っでるの!!!」 「れいむがちょうだいっていったんだろ?」 「ゆががっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあ゙わ゙ぜーー!!!」 とは言いつつも両目からぼろぼろと大粒の涙をこぼしている。 気にせず先に進もうとすると 「だ、だべなんだがらね!!!ごのざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 またしても右足にしがみつくれいむ。食べ物が目的じゃないとすると、 この先には相当大事なものでもあるというのか? 「こっち行かないとお兄さんは帰れないんだけどなぁ?」 「ざ、ざぎにずずむならゆっぐじでいぶにづうごおりょおをはらっでいっでね!!!」 「でいぶのお遊びに付き合ってる暇なんか無いんだけどなぁ…。ゆっくりどいていってね!!!」 「ゆがっ!? でいぶにゆっぐじおでんじじゅーずをぢょおだいね!!! ないならゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 「お兄さんのおうちにはオレンジジュースがたくさんあるよ? 通してくれたらでいぶに分けてあげてもいいけど?」 「や、やっぱりだべだよ!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!! ごごがらはでいぶのおうぢだよ!!!ゆっぐじごっぢごな゙いでね!!!」 もう「でいぶ」に構うのも飽きたので、無視して歩みを進める。 すると前方の草むらの中、木の根元の穴から伸びるオレンジ色の塊が姿を現した。 ゆっくりの卵である。 握り拳よりやや小さいゼリー状の塊が蛇のように連なり、見えているだけでも数百は下らない。 恐らくは巣の中で卵を産みつけていたが収まりきらず、外まではみ出したってところだ。 一つ一つの形状は縦に長く昆虫の卵のようでもあり、長く長く連なる様子は蛙のそれを彷彿とさせる。 よく見ると内部に非常に小さいながらもゆっくりらしき姿が見て取れた。 「ははぁー…こういう訳だったのかぁ。」 「やべでね!ゆっぐじやべでね!!!でいぶのかわいいごどもにでをだざないでね!!!」 「ふーん…」 それだけ言うと僕は、卵の群れの一角に塩を振りかけ始めた。 浸透圧により見る見るうちに卵がしぼんでゆく。 「やべでえええええ!!!でいぶのおぢびぢゃんになにずるのおおおおおお!!! ゆっぐじやべでいっでね!!!ゆっぐじやべでえええええええ!!!」 れいむは卵の前に立ちはだかり、塩をこれ以上子供たちに浴びせまいと大きく口を広げた。 「ゆっぎゃあああ!!!でいぶのおめめがっ!いだいよ゙おおおおおおおおお!!! でいぶのおぐぢがぁああああああああ!!!ゆっぐじやべでえええええ!!!」 目や口などの粘膜に塩がかかるたび、れいむは悲痛な叫びを上げた。 体が大きめなだけあってその叫びも一段と大きい。余計に敵を呼び寄せてもおかしくはない。 「ほーら、今度はこっちだ。おいしいお塩をあげるからねー♪」 オレンジ色のゼリーは塩と触れると直ちに縮み始め、こげ茶色の塊へと変貌していく。 「やべで、やべでよおおおおおお!!! でいぶのおぢびちゃんはおじおなんでいだないぼおおおおおお!!!」 れいむは満身創痍ながら卵の前で塩を受けとめようと必死にかけずり回る。 「でいぶのおぐぢが、おぐぢがゆっぐじでぎないよ゙おおぉぉおおおおおお!!! おにいざんはゆっぐじやべでね、ゆっぐじやべでいっでね!!!」 両目から滝のように涙を流しているが、それでも諦めようとはしなかった。 ふと視界に蜂蜜色の物体が飛び込んだ。 近寄ってみると息を荒げるゆっくりありすであった。面白いことを思いついたぞ…! 「ゆふー、ゆふー、れいむのこえがきこえるわ!!!どこなのお? ありずがずっぎりざぜであげるよおおおおおおおお!!!」 「やぁやぁとかいはのありすちゃん。」 「ゆゆ?とかいはのありすはいまいそがしーのよぉ?おにいさんはてみじかによーをすませなさいよ?」 「そのれいむのとこにつれてってあげようとおもってさ。」 「ゆほっ!?べ、べつにありすはれいむのことなんてどおでもいいのよ? でもおにいさんがつれてってくれるっていうならのってあげてもいいわよ?」 ありすは顔を赤らめ涎を垂らしながら答える。その顔、本心がわかりやすく見て取れる。 僕ももちろんそのつもりだ。 ありすを抱きかかえ足早にれいむの元へと向かう。 「ゆっほおおおおおお!?れいむのかわいいたまごがたくさんあるわ!!! みてるだけですっきりしちゃうわあああああ!!!すっきりー♪」 ありすから放たれた乳白色の粘液に卵の一角が覆われていく。 「やべでええええ!!!すきなひとじゃないとあかちゃんのもとかけちゃだべえええええ!!!」 「ありすのためにこんなにたくさんよういしてくれたのね!!! れいむってつんでれねえええええ!!!」 「だべえええええ!!!れいむのだいすきなまりさじゃないとだべええええ!!! ゆっぐじやべでいっでね!ゆっぐじやべでええええええ!!!」 「そのまりさってのは、こいつの事かな?」 「ゆがっ!?ま゙、ま゙、ま゙り゙ざぁあああああぁああああ!!!」 数十分前のことだ。市場を後にし藪森へ歩みを進めようとした頃―― 「こっからはまりさのてりとりーなんだぜ!!!おにいさんはゆっくりあっちへいけだぜ!!!」 「ここをとおらないとお兄さんおうちに帰れないんだけどなあ?」 目の前にこれまた60cmもあろうかという大きなゆっくりまりさが立ちはだかった。 無視して先へ進もうとすると… どかっ! 尻に鈍い痛みが走る。まりさの体当たりだ。 重さも相当なため思わずよろけてしまう。 「まりさのたいあたりなのぜ!これにこりたらゆっくりむこうへいけなのぜ!!!」 まりさは僕の前に回り込んで自慢げに語りだす。 「ほぉおお? 向こうへ行かなかったらどうするのかなぁ?」 「ゆがっ!?と、とにかくこっからはすすませないだぜええええええ!」 まりさが再び体当たりを仕掛けてくる。 一歩横によけてみる。ゆっくりにしては速いがかすりもしない。 案の定まりさの勢いは止まらず向こう側の木に突進し、盛大に全身を打ち付ける。 「ゆがっ…!ゆ・・・ゆぐぅ・・・」 「おーい?いきてるかー?」 まりさは白目を向き天を仰いでいる。もっとも枝葉に覆われ空を拝むことはできないのだが。 「あーあ、見事に伸びちまったなぁ。しゃーない、持って帰ってやるとするか。」 僕は背負っていた篭にまりさを放り込み、その場を後にした。 「ゆ…ゆーん・・・ ゆゆっ!?ここはどこなのぜ?」 「ま、まりさ!?きがついたのね!!! みてみて!!!れいむね、いっぱいおちびちゃんうんだんだよおおおお!!!」 「れ、れいむううううう!!!よくがんばっただぜえええ!!!」 「でもこのありすとそのおにいさんがゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆゆゆ!?ゆっくりできないおにいさんとありすはゆるさないのぜええええ!!!」 まりさは近くにいたありすに体当たりを仕掛ける。 発情ありすとはいえ体格差は歴然であり、放物線を描き地面に叩きつけられる。 「ああああっ!? まりさってとんだえすえむぷれいなんだからぁああああ!?」 程なくして気を失った。 「さっきはよくも、よくもおおおおおお!!! でいぶまでいじべで、ま゙り゙ざぼおゆるざな゙いのぜええええ!ゆっぐじじねええええぇぇええええ!!!」 再びまりさが僕に突進を仕掛ける。僕は手近にあった太い枝を拾い上げると、 一歩左に下がり野球の打者の要領で勢いよく振りぬいた。 「ゆべっ!? ゆびぶべぼばびぶべぼゆびゃぁああぁああああああああああぁぁぁぁ!!?」 真っ二つに裂かれたまりさは壮大な断末魔を上げると、物言わぬ餡子の塊と化した。 「ど、ど…、どぼじでごんな゙ごどずる゙の゙おおぉぉおおおおお!!?」 「いや…、どぼじでって言われてもなぁ…。れいむ達から仕掛けてきたんだろ?僕はそれに応じただけさ。」 「でいぶのおぢびぢゃんがえじでええええええ!!!ばでぃざをがえじでよおおおおおおぉおおおお!!!」 「卵ならまだ全滅しちゃいないだろーよ。」 「すきなひどにあがぢゃんのもどかげでもらわないとうま゙でないよ゙おおおぉおおぉおお!!! ゆっぐじがえじで、ばでぃざをがえじで、でいぶのあがぢゃん、がえじでよぉおおおおぉおおおおお!!!」 「んなこと言われてもなぁ…。」 「ど、どぼじで…、どぼじでな゙の゙ぉぉおおおおぉおおお!!! ばでぃざ・・・、あがぢゃん・・・、がえじで、がえじで… がえじでぇぇええええぇぇ・・・」 その大きな饅頭は、大粒の涙をぼろぼろとこぼし、悲痛と怒りの余り泣き叫んでいた。 溢れる涙は「彼女」の足元に水溜りを作り始めていた。 僕はただ家に帰りたかったがためにやっただけ。 道を邪魔をした挙句そんな剣幕で問い詰められても困るのだ。 絶望に打ちひしがれる「でいぶ」を目の前にして、僕はどうしていいかわからなかった。 「んほっ!?なみだによだれにぐっちょぐちょのれいむもかあいいのよぉおおおおお!!!」 「ゆがっ!?ゆっぐじごっぢにこないでね!ゆっぐじやべでね!!!」 途方に暮れているうちにありすが気を取り戻した。すぐさまれいむに一直線。何という見上げた根性・・・。 塩攻めにされ、愛するまりさを失ったショックを受け、泣き疲れたれいむにもはや策は残されていなかった。 ありすの為すがままになるしかない。 「んっほおおぉおおおぉおおお!ぐっちょぐちょのれいむぎもぢいよおおおおおお!!! あらてのろおしょんなのねえええええええ!!!すっきりー♪」 「やべでぇええええぇええ!ずっぎじー!」 「めをそむけなくていいのよおおおおおおお!!!れいむったらつんでれね!!! すっきりー♪」 「ゆっぐじやべで、ゆっぐじやべでね!!!ずっぎじー!」 「れいむのろおしょん、れいむのろおしょんあまじょっぱくておいしいいいいいいいいいい!!! もっとちょおだい、もっとちょおだいねええええええええええ!!!」 「でいぶおいじぐないぼおおおおおお!!!」 「ひていしなくていいのよ?れいむったらつんでれなんだからああああ!!!すっきりー♪」 「やだぼおおお、やだぼおおおおおおおお!!!すっぎじー!」 「もっと、もっとありすにあいをちょおだいねええええええ!!!」 「ゆっぐじやべでね!ゆっぐじ・・・ゆ・・・ゆっぐ・・・」 この状況を打破してくれたありすには感謝しなければならないのかも知れない。 そんな僕の内を余所に、ありすの勢いは止まることを知らなかった。 「れいむ?ねちゃったのぉおお?とかいはのありすのてくがきもちよすぎたのねええええ! うぶなれいむもかぁいいよぉおおおおおおお!!!」 れいむは気絶か、腹上死でもしたのか、とにかく動かなくなった。 いずれにせよその額からは緑色の突起が数多く現れ始めており、運命は決まったも同然である。 「あら…?たまごがたくさんあるじゃなあああい! ありすのためによおいしておいてくれたのねええええ!!!すっきりー♪ みてるだけですっきりしちゃったわ!!!すっきりー♪ れいむっておませさんなんだからああああああああ!!!すっきりー♪ ゆっほおおおおぉおおおおおおおお……」 この後どうなるかは想像に容易い。 夥しい数の卵を貪るうちにありすは干からび、万が一孵化できたとしても誰が育てると言うのだろうか。 冬が近いこの季節、子供たちだけで生き抜くには絶望的である。 オレンジ色の卵達が徐々に乳白色に染まっていくのを見届けていた僕は、 追われる様にして我が家への道を急いだ---- 終われ その後...塩がかからずにありすの精子餡を受けたたまごたちは、「ゆっくりしていってね!」という声で生まれてきたが、そこには朽ち果てたありすとれいむがいたこの子達がこの後どうなるかは一目瞭然だろう。加工所にみつかり研究され尽くされるか、餓死するか、死ぬのも生ぬるい地獄を虐待鬼威山に見せられるかだろう愛でおにいさんに見つかろうとも、 親のいないゆん生を歩むには難しいだろう ほんとに終わり Ref. 1) 東方アクロバティカより ttp //flat-racing.sakura.ne.jp/oretoumi/hp/touhou44.jpg あとがき 昆虫型と名付けたのは、蛙のように外側が粘膜で覆われていないためです。 交尾してなくても卵生むの? 充分に成長し時期が来たら大量の卵を産みます。 それでいて本体は交尾するとにんっしんしてしまうという破天荒な設定です。 by まりさつむりの人 他に書いたもの ゆっくりいじめ系800-802 まりさつむりの記憶 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりバイブレーション1 アリス×ゆっくり系16 アリスのゆっくり水爆弾 白玉楼×ゆっくり系5 みょんとの出会い ゆっくりいじめ系932 愛しのありす ゆっくりいじめ系1024 嘘つき少女の悲劇 このSSに感想を付ける
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前 ※若干オリあり? ※虐待度はやや低め ※若干罵詈雑言気味 ※読むに堪えない文章は仕様です というわけで、あっという間に出産日。 ボールの中ではさすがに出産なんて出来ないので、2週間ぶりにゆっちゅりーを外に出す。 圧迫感から開放されたものの、2週間も食事もろくにとれず、コミュニケーションも満足に出来ずの状態だったわけだから相当ぐったりしている。 「も、むきゅ・・・うぅ」 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ゆっくりしていってね」 そんな彼女に寄り添うゆっくりまりさ。実に健気で、美しい光景だ。 見てるとなんだか腹が立つくらい美しい。 「ゆっくりしてる場合じゃないだろ?早く子供を産んであげないと!」 腹が立ったので水を差してやった。 「むきゅ・・・そうだね、ゆっくりするならあかちゃんをうんでからだよね」 「ゆ!ぱちゅりー、ゆっくりいそいでうんでね!」 「矛盾しとるぞ、まりさくん」 などと突っ込みを入れていると、ゆっちゅりーが突然うめき始めた。 「む、むぎゅぅぅぅぅぅ・・・!?」 どうやら本格的に陣痛が来たらしい。 今までボールの中にいて全く見えなかったが、彼女の口の下には産道らしき穴がある。 まるで人間の女性のそれのようでちょっぴりいやらしい。思わず赤面しちゃったさ。 「ぱちゅりー!どうしたの?!」 「う゛うばれりゅ・・・!?」 「もうすぐらしい。まりさ、君は少し離れていなさい」 それでもなかなか離れようとしないまりさを抱き上げ、ゆっちゅりーから少し距離を置く。 「ゆ゛うううぅぅううう・・・」 出産は想像以上に難航しているようだ。 ボールで圧迫されていたせいで胎内の子供がすでに死んでいるのかもしれない。 生きていたとしてもまともに歩けないような重度の障害をわずらっている可能性もある。 「ぱちゅりー・・・ゆっくりがんばってね!」 俺の隣では自分が出産しているわけでもないのに苦悶の表情を浮かべるまりさがゆっちゅりーを励ましている。 実に微笑ましい光景だ。さっきからこんなことばっかり言っているような気もするが、むかつくくらい微笑ましい光景だ。 それと同時に、この微笑ましさの分だけ子供の姿を見たときに絶望するんだと思うと鳥肌が立ってくる。 「なあ、まりさ。俺の話をゆっくり聞いてくれよ?」 「なに、おじさん?」 「もし、ゆっちゅりーの子供が未熟児や奇形児だったらその子を口の中に隠してほしいんだ」 「ゆ!?それってまりさにk」 「静かにする!」 「ゆぅ・・・」 「安全なボールの中にいたから大丈夫だとは思うんだけど、万が一の可能性がある。あんな狭いところで我慢したのに、ようやく生まれた子供が元気じゃなかったら可哀そうだろ?」 「ゆ!おじさんのいうとおりだね」 流石ゆっくり。こんなこじつけも同然の話に素直に納得してくれる。 「それにまりさも知っていると思うけど、ゆっちゅりーは子供を産むと死んでしまうだろ?」 「ゆぅ・・・」 目を背けていたかった事実を突きつけられあからさまに落ち込むまりさ。 でも、本当に落ち込みたいのはこっちなんだぞ、このド畜生饅頭が。 「だからさ、それまで隠し切れれば良いだけの話なんだ。口の中に隠すときにはゆちゅりーの目を隠すし、他のフォローもお兄さんがするから」 「うん、わかった。ゆっくりくちのなかにかくすよ」 「ありがとう。よし、それじゃ、素早く隠せるようにゆっちゅりーのそばに行こうか?」 そう言って立ち上がると、出来る限り柔和に微笑んだ俺の表情を見たまりさは「ありがとう、おにいさん」とまりさらしからぬ殊勝な言葉を口にすると、ゆっくりゆっちゅりーの傍へと跳ねて行った。 「おにいさん、か・・・」 結論から言えば、赤ちゃんは明らかに奇形で、その上未熟児だった。 もっとも、まだおなかの中にいるのでゆっちゅりーには見えていないが、俺とまりさにはその赤ちゃんの異形がはっきりと確認できる。 いわゆる結合双生児というやつだ。しかもその子ゆっくりはまりさの右目とゆっちゅりーの左目が完全に一体化しているかなり異様だった。 ボールによる圧迫の影響で産道が小さかったこともあるだろうが、蔓から生まれてくるものよりもやや小さいくらいの未熟児なのに難産になったのはこれが原因だろう。 「ゆっぐりぃぃぃぃ・・・」 「ゆぎぃいぃぃぃ・・・」 2つの口からそれぞれに呻き声が漏れるが、その違和感にゆっちゅりーはまだ気付いていない。 産みの苦しみのせいで、そんなことを気に留めている余裕がないのだ。 「むぎゅぅう゛・・・・」 「がんばれ、ぱちゅりー!」 自分はすでに残酷な現実を突きつけられているにも関わらず、まりさはそれをゆっちゅりーに気取らせまいと、必死でわが子の安産を願う親を演じる。 本当に健気な奴だ。ちょっと前に独善的で思い上がりの激しい自信家だなんて言った自分が恥ずかしく思えてくる。 「ぎゅうううぅぅう・・・」 「もう少しだぞ、ゆっちゅりー!!」 あと少し・・・あと少しでゆっちゅりーの子供が産道から飛び出す。 俺はすぐにゆっちゅりーの視界をさえぎるべく彼女の後ろに回りこみ、まりさは子ゆっくりを口の中に隠すための準備に入った。 あと少し、あと少しで産まれる。 「む、むきゅううう!!」 俺とまりさが固唾を呑んで見守る中、ゆっちゅりーが悲鳴にも似た声を上げると子ゆっくりたちが飛び出した。 「「ゆっきゅりちちぇちぇね!」」 舌っ足らずで、あまり声も大きくなかったが紛れもなく、子供達はこの世界に生れ落ちた。 本当ならその誕生を心から祝福したいだろう。 子供達をゆっちゅりーの傍に連れて行って、彼女をねぎらってやりたいだろう。 きっと並のゆっくり、喚起のあまりにさっきの約束を忘れてそうしていただろう。 だが、このまりさは違っていた。自分のすべきことは何か?それをわきまえて、わき目も振らず2匹の、いや1対の子供を自分の口の中に丸呑みした。 「・・・まりさ、なにしてるの・・・?」 しかし、その賢明さが仇となった。子供を口の中に入れたまりさがこっちを振り返ったとき、俺はゆっちゅりーの視界をさえぎるどころか子供をしっかり見られるように彼女を抱きかかえていた。 「んぐ!?」 目の前の光景に、1週間とは言えゆっちゅりーの安産という共通の目的のため協力し合ってきた俺の予定以外の行動に動揺し、硬直するまりさ。 そして、この俺がその瞬間を逃がすはずがない。 「この腐れゆっくり!何をしやがるんだ!!」 怒鳴りつけるが早いか、飛び掛るのが早いか。まりさを捕らえた俺はさっきまでゆっちゅりーが入っていたゆっくりボールを手に取り、その中に子ゆっくりを食べた悪いゆっくりまりさを放り込んだ。 「だから・・・だから勝手に妊娠なんてしてほしくなかったんだよ・・・ッ!」 涙ながらに床をたたきつけ、すでに虫の息のゆっちゅりーを怒鳴りつける。 「ご、ごめん、なさい・・・むきゅ・・・う」 子供が奇形だった上に、夫とも言えるまりさに食べられてしまう瞬間を目撃してしまった以上、反論なんて出来るはずもない。 「お前が謝ったって仕方ないだろ?悪いのはお前を騙したこのまりさなんだから・・・」 「むむー、あいああおうあおおううう・・・」 「うるさい!」 抗議しようとするボールの中のまりさを蹴飛ばし、涙をぬぐう。 我ながら名演技だ。ゆっちゅりーが死ぬのが悲しいのは事実なんだけどな。 「こんな奴と交尾したばっかりに・・・何の罪もない子供が奇形の未熟児なんかに・・・!」 そういって更にボールの中のまりさを蹴りつける。 本当は俺が適当なこと言ってあんなボールに閉じ込めたからなんだけどな。 「挙句の果てには喰われる羽目になって・・・!」 怒鳴り散らしながら何度も何度も蹴りつける。 「ゆうぅぅぅ・・・」 ゆっちゅりーは複雑そうな表情でその様子を見守っている。 一度は愛し合ったまりさを助けるべきなのか、それとも“本当に自分を気遣ってくれていた”ご主人の悲しみと怒りを理解すべきなのか、判断しかねているらしい。 しかし、戸惑っているうちにも死が近づいてくる。どんどん体が動かなくなっていく。 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 面白がってまりさを蹴りまくっているうちに、もはや喋ることすら間々ならなくなってしまったゆっちゅりー。 実はビッチだったことや俺の純情を踏みにじったことは今でも腹立たしいが1年近くも一緒に生活してきたんだ。 最後くらい、きちんと見送ってあげよう。そう思った俺は彼女をひざの上に乗せ、頭をなでながらお別れの言葉を口にした。 「もう最後だから言うけど、実は・・・お前の子供があんな風になったのは・・・お前がゆっくりボールに入ったせいなんだ」 このときの俺の表情は、きっと満面の笑みだったろう。 ・・・ゆっちゅりーは旅立った。実に良い表情で。そして、居間には俺とまりさだけが残された。 ボールの中のまりさの口の中には奇形の子供が1対。勿論、まりさを世話するつもりなんて微塵もない。 あいつ自身の口の中に少量ながらも食料が保存されているから、すぐに上で苦しむ出すということはないだろう。 死ぬまでボールの中で俺の嫁に手を出したことをゆっくり反省してもらおう。どんなおしおきが効果的だろうか? 振動を与えて発情させ、すっきりする前に止めてから、ゆっくりアリスの群れの中に放り込んでやるのも面白いかもしれないな。 すっきり出来ない苦痛と、アリスに囲まれている恐怖と・・・どっちで気が狂うのだろうか? そして、俺の膝の上には物言わぬゆっちゅりー。 よく見てみると子供を産んだ際に出来た産道が塞がっていない。死んでしまったから再生能力も失われてしまったのだろう。 ゆっくりと人間では交尾の方法が根本的に違う。だから人間とゆっくりが交尾をすることは不可能だ。 たまに咥えさせたり、体に空けた穴に挿入したりする者はいるらしいが、そんなものは交尾とは呼べない。 やっぱり、自然にある穴に挿入してこそ夫婦の営みだと思うんだ。そして今、膝の上にいる彼女には普段のゆっくりにないものが付いている。 そんなことを考えた直後、まりさの最初のおしおきが決定した。 もっとも、ただ見ているだけで良いのだからこんなものをおしおきと呼べるかは正直怪しいところだけど。 ---あとがき?--- ホスト規制で7回はイってしまったぜ。 今までに比べたら若干虐待描写は多めだと思います。 しかしそれでも少ないのは、作者がそのものを見せるより想像力を掻き立てるほうが良いと考えているからです。 まあ、こんなしょっぱい文章じゃ想像力なんて掻き立てられないでしょうが。 最初のお仕置きは言うまでもなく目の前でゆっちゅりーを屍姦ですね。なまじ頭が良くて義理堅いこのまりさだからこそ効果のありそうなものです。 お兄さん変態すぎます。しかも、ゆっちゅりーは好きだけど別にゆっくりが好きなわけではないとか、訳が分からん。 ホスト規制で書き込めないのでここで色々。 ゆっくりを野球に使いたいときはゴム製ゆっくりボールをご使用ください。 使い方は簡単! テニスボールサイズで、中が空洞のゴム球の中に一箇所だけ開いている穴から子ゆっくりを入れてください。 ただし、その際には背中から押し込むようにして穴の部分が口のところに来るようにするのをお忘れなく。 ゴム餡子の流出を抑えてくれるので死ぬことはありません。また、穴が開いているので窒息することもありません。 一つだけ残念なのはがっちり抑えつけられるせいでゆっくりたちの阿鼻叫喚があまり聞こえないこと。 サッカーやその他球技の場合でもfuku1391.txtにあるその競技にあったサイズのボールにゆっくりを入れて、 安全のためにゴムカバーをかければ問題ありません。さあ、皆様、ゆっくりボールでゆっくりスポーツライフをお楽しみください。 このSSに感想を付ける
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「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせー!・・・」 赤ちゃんゆっくり、通称赤ゆっくりの声が畑一面に響く。 見渡せば同じように食事をしているゆっくりは3匹4匹では済まない。 その中に二周りほど大きなゆっくりが二匹いた。この畑にいるゆっくり達の両親だ。 片方がれいむ、もう一方がまりさという典型的なその夫婦も子供達同様に畑の中で食事をしてしあわせ、しあわせと連呼している。 しかし彼らが食べているの畑の主役である野菜ではない。その成長の邪魔をする細かな雑草をぷちぷちと食しているのだ。 「むーちゃ、むーちゃ・・・ちあわ・・」 幸せを連呼するゆっくりの数が時間の経過とともに減っていく。その順番は年の若い順のゆっくりからだという事は 減っていく口調から容易に判断することができた。 「みんなどうしたの・・・?おいしい草さんを食べれてるんだからゆっくりしあわせ~って言おうね?」 「ゆゅう・・・もうやじゃぁ!!」 心なしか焦りながら子供達に話しかけた親れいむの言葉にさからい、一匹の赤れいむが顔を上げて泣きはじめた。 「こんにゃのおいちくないよ!れいみゅあしょこのやしゃいさんが食べちゃい!」 「だ、だめだよおちびちゃん!そんなことがお兄さんに聞こえたら・・・」 親れいむの視線が赤れいむの頭頂へとゆっくり動く。 そこには一本の透明な線が毛のように赤れいむから生えていた。 よく見れば他のゆっくり達からも不自然にその線は生えており、スーッと伸びたその先は畑の脇に座っている人間の手に握られている。 「おちびちゃん、お願いだからせめて静かにしてね!今お父さんがおいしそうな草さんを探してあげるからね!」 「ゆぅぅ!だからくささんは嫌なの!たべちゃくないの!」 父親役であるまりさも赤れいむの我がままの制止に加わるが泣き止む様子はない。 「ゆぅぅぅぅ!!!おやちゃいがたべたいよぉぉぉ!!!」 「静かに!静かにしておちびちゃん!ね!お・・・」 その時、親れいむの体に淡い闇がかぶさった。 向かい合っている相方の顔が恐怖に引きつっているのを見てれいむの頬を冷や汗が伝う。 恐る恐る静かに後を振り向くれいむ。そこには先程まで座ってゆっくりしていた人間がずんと立っていた。 「野菜が食べたいって?」 「ち、違うんですお兄さん!この子はちょっと疲れてへんなことを言ってるだけなんです!」 「別に草さんがまずいなんて思ってないです!いつもたべれてむしゃむしゃしあわせ~♪」 ニコニコと笑いながらどれだけ自分達が毎日の暮らしに充実しているかを少ない語彙で力説する二匹の親ゆっくり。 だがそんなこともおかまい無しに赤れいむは我がままを止めない。 「おにゃかちゅいた!おにゃかちゅいた!おにゃかちゅいたぁ~!」 「だからそれなら草さんたちを食べればいいでしょおちびちゃん!いいかげんおかーさん怒るよ!」 焦りが限界を超え始めた親れいむはとうとう赤れいむをしかりだした。 だがそこはまだ子供、そう簡単に親の言うことを聞くなら苦労はしない。 「いやぁ!おやしゃい~!!!」 「まあまあ待て。そんなに無理して食べさせることもないだろう?」 「ゆっ・・・!?」 意外な人間の言葉、そもそもここの畑の雑草を食べる様に命じたのは彼だ。 今更食べなくていい等と都合のいいことを彼が言うことはないことを親ゆっくり達は知っていた。 「ゆっ!おにーちゃん、もうれいむ草さんをたべにゃくていいの!?」 対して無知な赤れいむは喜々とした表情で人間を見つめる。まるで野菜を食べていいと言われたかのようだ。 「ああ、いいよ。」 「ゆゆーん!ありがちょぉおにーしゃん!」 「だってまだ一匹減っても八匹もいるしね」 そう言うと人間はゆっくり達から伸びているその透明な線の束から一本だけを選び始めた。 「・・・ま、まっでええええ!!おにーさんまっでええええええ!!!」 「やめてくだざいいいい!!まだ赤ちゃんなんですぅぅぅ!!!」 その途端、親ゆっくり達は泣き叫びながら人間にすり寄り始めた。 当の人間は素知らぬ顔で線を選ぶことを止めない。 「おおこれだ。さておちびちゃん本当に草さんを食べたくないんだね?」 「ゆゅ!あんにゃゆっくりできないたべものは嫌いだよ!」 「そうかそうか・・・」 「嘘!うそでずおにぃざん!!このこは草さんだいすきですからぁ!!!むしゃむしゃしあわせですがらぁ!!」 「しょんなことにゃいよおかーしゃん!あんなまじゅくてちあわせじゃないたべものなんてれいみゅはもう食べないよ!」 「どうじでそんなごどいうのぉぉぉ!!!」 親ゆっくり達は赤れいむの発言を撤回しようと必死だが赤れいむは頑に雑草はもう食べないと言い張っている。 すると人間はそのゆっくり達の会話に飽きたのか、選んだその線を持つ手に力を加えて思いっきり引っ張った。 「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」」 親ゆっくりの叫びが同調し畑の隅遠くまで満遍なく響き渡る。 そのコンマ数秒後、叫び声とは違う乾いた音が響く。 「おちびちゃんがあああああああああああ!!!」 「ゆゅゅ!びっくりさせないでよおかーしゃん!」 「あ゛あ゛あ゛・・・ゆっ?おちびちゃん?」 「どうちたのおかーしゃん達!れいみゅびっくりしたよ!ぷんぷん!」 親れいむの足下には突然の叫び声に驚いた赤れいむが頬をぱんぱんに膨らませている。 親ゆっくり達も驚いている。 なぜなら今死んだはずの自分の子供が五体満足でその場にいたのだから。 だが親ゆっくり達は確かに聞いていた。あの忌々しいボンッという聞き慣れてしまった爆発音を。 「ん!?間違ったかな・・・」 「おねえちゃあああああああん!!!」 自分の子供の悲鳴を聞いた親ゆっくり達はゆっくりらしかぬ動きでバッとその方向へ振り向いた。 先程まで雑草をむさぼっていた子まりさがいたその場所には 子まりさの帽子に泣きつく赤まりさと 濃い茶色で塗りつぶされた地面しか存在しなかった。 「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「おちびちゃんがあああああああああ!!!」 再び泣き叫び始める親ゆっくりの異常な様子に近くにいた赤れいむも流石に身の危険を感じ始めた。 「すまんなぁおちびちゃん。お前を爆発させるつもりがどうやら姉ちゃんを爆発させちまったらしい。」 「ゆ・・ゆ・・・?ばくはちゅ・・・?」 「そうだ、おっきな音がしたろ。あれはお前の姉ちゃんが体の中からふっとんで死んじまった音だ。」 「し、死んだ?おねえちゃんが・・・?」 「ああ、そうだ・・・すまんなお前を爆発させる線はこれだ。次は間違えないからな。安心しろ。」 そう言ってにこやかに微笑む人間の顔にはまるで罪悪感は見えない。 ようやく雑草を食べないことが身の危険へとつながることを理解した赤れいむは目に涙をためて 体をゆっくりと左右に振り始めた。 「いやじゃぁ・・・いやじゃぁ・・・ちにたくないぃ・・・」 「だいじょうぶ、もう草さんなんて食べなくていいんだからな。なぁに、お前が減ってもまだ七匹もいる。 俺の畑のことは心配するな。」 「いやじゃぁぁぁ!!!ちにたくないぃぃぃ!!!ゆっくりちたいよぉぉぉぉぉ!!!」 淡々と死の宣告をする人間との会話に我慢ができなくなった赤れいむは気が触れたかの様に猛烈な勢いで頭を揺らした。 「仕方ないだろ、おまえが草さんを食べたくないっていうんだから。」 「ゆぁぁぁ!!たべる!たべるから!ゆっくり!ゆっくりくささんをちゃべるよ!」 言うや否や赤れいむは周りの数少ない雑草に顔面をあてて食らいつき始めた。 その勢いは草よりもむしろ土を食してる割合の方が多い。 「・・むぐっ!むぐむぐむぐ!・・・はふっはふっ!」 「うーんやっぱりいいよ。」 「むぐっ!?」 一瞬、もう許してくれるのかと思い赤れいむは人間の方へと顔を上げようとした。 「そんなおいしくなさそうに食べるなんて可哀想だからね・・・しあわせじゃないおちびちゃんの姿は見ていられない。 さよならおちびちゃん。」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!むーしゃ!!!むーしゃ!!!ちあわちぇー!!!ちあわちぇー!!おいちー!!! ゆっきゅりできるよ!!!!しゅっごいゆっきゅりできるよ!!!!むちゃむちゃむちゃむちゃ!!!!ちあわちぇー!!!!」 最早赤れいむに雑草や野菜や土の区別等ついていない。 ただ目の前にある物をかぶりつきしあわせと連呼しているだけである。 「うっみぇ!!!!しゅっげうっみぇ!!!ぱにゃい!!!みゃじぱにゃい!!!!ちあわちぇちあわちぇ!!!」 「おーよかった!いやーここの草さんも俺の畑からできてるものだからねー。まずいわけがないとは思っていたんだよ。 それだけおいしいって言ってくれるならまだ大丈夫だね!いやーよかった。」 「ちあ、ちあわちぇ!!!ちあわちあわちぇ!!おいちおいちーよー!!!」 遠ざかっていく人間の姿に安堵したのか、今まで食べる等考えもしなかったその茶色のじゃりじゃりに 赤れいむは尋常ではない吐き気を催した。 「・・んぶ!おがぁ!おあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 一生命体から肥料へと変わっていく赤れいむ。その勢いは止まることなく一分も立たずに赤れいむは意識を遠のかせていった。 「もっちょ・・ちあわせになりた・・・きゃったよぉ・・・」 その5分後、子まりさの屍を弔い終わり戻ってきた親ゆっくり達はまたしても声をからす程に泣き叫ぶことになった。 ―夕方 「おーし、もう上がっていいぞごくろうさーん。」 『・・・・・・・・・・』 「みんなゆっくりしてないのか・・・」 『おにーさん!!とってもゆっくりできたよ!!あしたもゆっくりしようね!!!』 「そうかそうか!それじゃあ小屋へ戻ろうな。」 『ゆっくりもどるよ!』 「逃げたらだめだぞー。森の木にその線が引っかかってお前たちの中の爆弾ピンが外れたらボンッってなるからなー」 『ゆっくりにげないよ!』 「ご飯は・・・いらないか。お腹いっぱいだもんな。」 『ゆ、ゆっくりお腹いっぱいだよ!』 「そうだよなーよし、今日はもう寝なさい。明日も頑張ってもらうからな。」 『・・・ゆっくり・・・がんばるよ・・・!』 一家はここの畑に来たのは単なる社会科見学の一環だった。 人間の恐ろしさ、その野菜をとることの罪深さ、それを教える為に出向いただけだった。 そんなことは安全な巣の中でやるべきだったことを親ゆっくり達は今も後悔している。 彼らが捕まって一週間、爆弾の除去という人間との約束が果たされるその日まであともう一週間であった。 このSSに感想を付ける
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やあ 僕の名前は鬼威酸! 憎らしくて愛らしくて憎らしいゆっくりが だーーーい好きな皆に 外の世界の面白い道具を教えてあげるよ! ゆっくり遊んでみてね! 【ゆっくり棒歌ロイド用サンプル】 ゆっくり棒歌ロイドvol.1 トラック1 れいむ ttp //touch.moe.hm/up_ssize/download/1219386193.zip トラック2 まりさ ttp //touch.moe.hm/up_ssize/download/1219390361.zip トラック3 赤ちゃんゆっくり ttp //touch.moe.hm/up_ssize/download/1219393250.zip トラック4 歌う街角ゆっくり家族 ttp //touch.moe.hm/up_ssize/download/1219412822.zip 【コピペで楽しいお試しボイス】 ソフト ttp //www35.atwiki.jp/softalk/ ttp //www35.atwiki.jp/softalk/pages/22.html ★成体ゆっくり ゆっくりしていってね! すごくゆっくりしてるよ! ゆっくりしていくね! もうやだー! おうちかえる! お兄さんわゆっくりできる人? ゆゆ!? おそらを飛んでるみたい! いたいよ! ゆっくりやめてね! はやくかえしてね! うわー!れいむのあかちゃんがあ! どおしてこんなことするのー ゆっくりさせてー ゆっくりやめてね! こっちにこないでね! ここわれいむのおうちだよ! 馬鹿なの?死ぬの? おお こわいこわい すっきりぃー! ★赤ゆっくり ゆっきゅりしちぇっちぇね ゆっくちゆっくち! ゆっくちしちぇね! ゆっくちできないよー くちゃいーくちゃいよー! ★濁音 どぼぢでがらだがうごがないのおおおおお!!(どうして体が動かないのー?) どぼぢでぞんなごどいうの? まりざのだいぜぶなぼうじがー (魔理沙の大切な帽子がー) でいぶのだいぜぶなぎぼんがー (霊夢の大切なリボンがー) ぶばー!でいぶのががじゃんがー!(うわー霊夢の赤ちゃんがー) ごれじゃゆっぐぢでぎないよ!! でいぶのおめめぎゃああああああああ (霊夢のおめめがー) ごごがらだじでえええ (ここから出してー) あじゅびい いだびぃ (熱いぃ!) じゅぶれりゅう (潰れるぅ!) 「は」「を」などがたまに上手く解釈してくれないので わざと「わ」「お」にしたり 語尾を「?」にして抑揚つけると とても小憎たらしいゆっくりの声になって 性的な快感を感じるよ! 濁音とか叫びは難しいから、いろいろ試してみてね! タまらなくなってきたら、近場の森のゆっくりを捕まえて イイことをしようね? このSSに感想を付ける
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※俺設定注意 僕は、一匹のゆっくりを飼っている。 数年前に訪れたゆっくりブーム。人々はこぞってゆっくりをペットにしたがった。 僕もそんな流行に流された者の一人だ。 それから暫く経ってゆっくりブームは収束し、ゆっくりをつれて歩く人もまばらになったが、いまだに僕はゆっくりを飼い続けている。 「やぁ『まりさ』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!!おにいさん!!!まりさはとってもゆっくりしてるよ!!!」 今日も今日とて良いご挨拶。 やっぱりゆっくりの声はどことなく癒される。 「今日はちょっと豪勢なゆっくりフードを用意したよ。さ、お食べ」 「ゆゆっ!!うめっ!!これめっちゃうめっ!!が~つが~つ!!」 ちょっぴり眉をしかめる僕。 元気の良いことは大変結構だが、それでもちょっと食べ方が汚すぎる。 これは躾が必要だな。 「こら、『まりさ』。そんな汚い食べ方しちゃいけないだろう?」 ぶすり。 まりさの両目に指を突き込み、かき回す。 そうして引き抜いた指先には、ぐちゃぐちゃになった『まりさ』の両目があった。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「いい天気だね、『ありす』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしているわ!!!」 今僕達はお散歩中。 カチューシャにリードを取り付けられて、綺麗な蒼いおめめをぱちくりさせながら『ありす』は駆け回る。 元気だなぁ。これがとかいはと言うやつだろうか。 「おにいさん、ここ!!ここにゆっくりできるばしょがあるわ!!」 「はいはい」 ありすがベンチを見つけたらしく、そこに座ろうと急かしてきた。 まったく、そんなに急いでもベンチは逃げないぞ。 「・・・・・・ゆっくり、していってねぇ・・・・・・」 「うわ、何だ!?」 のそりと、ベンチの下から何かが這い出してきた。 ゆっくりれいむ。ただし、薄汚い野良ゆっくりだが。 久しぶりに見た。まだ駆除されないで生き残っている奴がいたのか。 「ゆっくりしていってね!!!」 「おい、ありす。そんな奴に構わなくてもいいって」 薄汚い野良風情に挨拶を返す『ありす』。 もし野良が擦り寄ってきて、『ありす』が薄汚れてしまったらどうするつもりなのだろう。 「ゆっ!!れいむはきっとゆっくりできるゆっくりよ!!おにいさんは、そこでみていてね!!」 「ゆっ・・・、あ、あでぃずぅ・・・・・・」 「あ、こら」 僕の忠告を無視して、ゴミへと近寄っていく『ありす』。 いけないな。飼い主の言うことは素直に従わなくちゃ。 これはおしおき決定だな。 ありす目掛けて、思い切り蹴り上げる。 全速力で振りぬかれた僕の爪先は、ありすのまむまむの周囲、そしてその少し上にある口を削り取った。 飛び散るクリームと白い飴の歯と求肥の舌。 「・・・・・・っ!?・・・・・・っひゅーっ・・・・・・ひゅー・・・・・・」 口を失い、代わりに掘られた穴からはヒューヒューと風音がする。 薄汚い野良れいむはそんなありすを見て失禁していた。 「『ぱちゅりー』、その本面白い?」 「おもしろいわ!とってもゆっくりできるごほんよ、おにいさん」 家の中、僕は『ぱちゅりー』と一緒に本を読んでいた。 小難しい小説を読む僕と、むきゅむきゅと逆三角形の口をとがらせて簡単な絵本を読む『ぱちゅりー』。 まったくもってほほえましい光景だ。 「おにいさん、つぎのごほんはないの?」 もう読んでしまったのだろうか。 次の絵本をねだる『ぱちゅりー』。 そうは言っても絵本なんてうちには殆どない。あるとすれば・・・・・・。 「じゃあこの絵本を貸してあげるよ、『ぱちゅりー』」 「ゆ?そのごほんは・・・・・・」 「ああ、古いだろう?僕の宝物だった本なんだ」 古ぼけた一冊の絵本を物置から引っ張り出す。 昔はこれをずっと抱えていたっけ。 「ぱちゅりー、貸してはあげるけど汚さないでくれよ。もうその本売ってないんだ」 「むきゅ!わかったわ!あ、でもこのほん・・・・・・」 意気揚々と僕から本を受け取り、開く。 本を開いたその瞬間、埃が舞い上がった。 その埃をもろに吸い込んでしまう『ぱちゅりー』。 「むぎゅ!!ごほっ、ごほっ・・・・・・えれっ、えれれっ!!!」 「あ」 咳につられて、嘔吐までしてしまう『ぱちゅりー』。 本にびしゃりとクリームがかかる。 もうこれは読めなくなってしまっただろう。 「ごほっ、げほっ、えれれ、ごぼっ!!」 「ああ、僕の絵本が・・・・・・」 汚さないでと言ったのに。 『ぱちゅりー』は僕の思い出を容赦なく汚してしまった。 これはお仕置きしなくてはいけない。 『ぱちゅりー』の脳天に抜き手をかます。 元々薄い『ぱちゅりー』の皮はあっさりと破け、簡単に手首まで埋まってしまった。 あとはハンドミキサーの要領でぐりぐりと手を掻き混ぜる。 「っ!!!?・・・・・・けひっ!!かひぇっ!?・・・・・・・くひぃっ!!」 ぐるんと白目を剥き、わけの分からないことを叫んで痙攣を始める『ぱちゅりー』。 もうこれでクリームを吐き散らかすようなことはしないだろう。 僕はぱちゅりーの頭から手を引き抜き、払ってクリームを振り落とした。 「やぁ『れいむ』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!!おnいさん、れいmはとっtもゆっkりしてrよ!!!」 『れいむ』に話しかける僕。 『れいむ』は今日も今日とて良いご挨拶・・・というわけにはいかなかったようだ。 「あれ?れいむ、今なんて言ったの?」 「ゆ?おにiさん、rいむはとってmゆっくrしてるyっていったnだy!!!」 僕の問いかけに返事を返す『れいむ』。 やっぱり聞き間違いではなかったようだ。 そういえばもう長いところ調整していない。そろそろガタが来たのかなぁ。 「うーん、こりゃ酷いな。総メンテが必要になったのかな?」 「ゆyっ?oにいsん、いったiなnのkと?」 僕を見上げるその瞳がカメレオンのように別々に動き始める。 ぐるぐると一箇所を見続けることはなく、時々白目を剥いたり、黒目に戻ったり。 うん、やっぱりこれは内部まで点検しないといけない。 「それじゃあ『れいむ』。ちょっとの間眠っててね」 「ゆ!おnいさn、rいmまdねmくな・・・・・・」 振り上げた拳をそのまま『れいむ』に叩きつける。 頭を不気味に変形させて、目と言わず口を言わずありとあらゆる穴から餡子を噴き出す『れいむ』。 一瞬の断末魔もなく、『れいむ』はそのまま静かになった。 「えーと、電話電話・・・・・・確かこの番号に・・・・・・」 電話帳を片手に、電話のボタンをプッシュする。 プルルとお馴染みのコール音。相手が出たのは、2コール後だった。 『はい、加工所愛玩部でございます』 「あ、すいません。ゆっくりの修理をお願いしたいのですが―――」 数年前に訪れたゆっくりブーム。 何故ゆっくりなんていうものがペットとして流行ったのか、それにはある理由があった。 先ず第一に人間の言葉が使えること。 犬や猫と違い、言ったことがそのままわかると言うのはペットとして大きなニーズを獲得した。 勿論、言語が通じることで生じる問題もあったが。 第二に、飼育が簡単であると言うこと。 なんせ生ゴミを適当に与えておいても勝手に育つのだ。 面倒くさいマニュアルなんてものはいらない。それはペットとして大きな魅力だろう。 そして、第三。恐らくこれが最も大きな要因だろう。 ゆっくりは、簡単に『修理』できるのだ。 他の動物なら致命傷でも、ゆっくりならば簡単に直せる傷なんてのは良くある。 元々体の脆いゆっくりの事、お手軽にペットを治療できるなんてのは病院代に悩む飼い主を救うことを意味していた。 それは、後々別の意味を持つことになる。 『ゆっくり救急治療キット』が世に出てから随分経つ。 名前の通り、そのキットにはオレンジジュースをはじめとするゆっくりを直す道具が一通り揃えられていた。 このキットが売り始められた時期と、ゆっくりのブームは奇しくも―――いや、必然だろう――― 一致する。 人々はゆっくりを『治療』するだけには止まらなかった。 治療と言う名の行為が行き着く果て―――それは改造だ。 今やペットショップにはゆっくりの種類別に分けられた眼球などのスペアパーツが並んでいる。 僕もそんなゆっくりを『改造』するものの一人だ。 この『れいむ』―――いや、その前は『ぱちゅりー』で、その前は『ありす』。更にその前は『まりさ』。 ではその前は一体なんだったろう。たしかみょんだったようなちぇんだったような・・・・・・?よく覚えていない。 とにかくこの元の種族すら分からない一匹のゆっくりを、僕は延々と改造し続けている。 その姿に飽きれば皮を剥がして、目を入れ替えて、植毛して、中枢餡を残したまま中身を入れ替えればよいのだ。 他の動物には真似出来ない、立派なゆっくりの長所だと思う。 まぁ時々こうして中身の不具合が出るのは加工所に任せるしかないんだけどね。 ともかく、ゆっくりがこの世に出てからいくらか経ったこの時代。 品種改良を重ね続けて、ゆっくりは完全に人に迎え入れられるような形となった。 人のために姿を変え、記憶を変え、魂まで変える。 なんとひたむきで、いじらしいのだろう。 『れいむ』を受け取りに来た職員さんに、そっと『れいむ』を差し出す。 一週間でお返しできます、との言葉を最後に職員さんは車を出していった。 きっとあの車の中には『れいむ』と同じようなゆっくりが積み込まれているのではないか。 遠くなっていく影を見つめながら、僕は一人思いを馳せる。 今度はどんな姿に改造してやろう。 もう『れいむ』の姿には飽きてしまった。つきはどんな姿がいいだろう。 そうして、つい最近入荷された新製品の事を思い出す。 確かあれは『ゆっくりゆうかセット』だったっけ。 緑の髪、赤い瞳、そして植物を栽培するらしい習性。 よく分からないが希少種・・・?のためらしく値段が少々高い。 それでも、セットに描かれていたあの姿は可愛らしかった。 きっとあの姿ならすぐには飽きない。少しは長く楽しめるだろう。 よし、決めた。次は『ゆうか』にしてやろう。 あの『れいむ』・・・いや、あの『ゆっくり』は喜ぶだろうか。 喜ぶだろうな。なんせあんなに可愛いのだから。 思い立ったが吉日。 僕は一週間後の改造に備えて、意気揚々とペットショップへと歩いていった。 人のためのゆっくり。 それは、ペットと人形の中間で人間に弄ばれる存在なのかもしれない。 おわり ――――― 書き溜めです。 ちゃんとゆっくりを愛でてみようと思って書いてみました。 着せ替え人形みたいにその日その日でお手軽に姿を変えられるペット、これは流行る。わけがない。 このSSに感想をつける